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河村side



Aの家族は本当に仲が良い。

お互いがお互いをきちんとリスペクトしており、そして愛情を持って接している。

それは家族内だけの話ではなく周囲の人間に対しても同じで、僕が東大に受かった時には自分の事の様に喜んでくれたし、体調を崩した時には実の親以上に心配してくれていた。

そしてそれは、自分の娘に対してとなるとより一層強くなった。

だからといって彼女に何か強制させる事は無く、遊びや勉強も基本的に自由にさせていたし、彼女のやりたい事を尊重し、そして1番に応援してくれる、文字通り理想の家族だった。

でも、音楽の事となると話は別だった。

それは自分達が音楽家であるというプライド故なのか、娘の才能を信じる親心故なのか、もしくはそのどちらもなのか。

理由は分からないが、その“応援”は明らかに度を越していた。

特に浪人中に関しては、Aの家の練習室には監視カメラが設置され、一人暮らしなのにも関わらず外出は全て許可制。

はっきり言って、異常だった。

それでもAは、一回落ちてるんだし仕方ない、それと受け入れていた。

彼女が耳の不調を訴え出したのは、ちょうどその頃だった。

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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時

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