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epi.20 お願い ページ21

河村side



「あ、そういえばこないだの撮影どうだったんすか?」



撮影の合間、そう声を上げたのはこうちゃんだった。



「ん?どの撮影?」



と、わざと惚けた回答をすれば、



「幼馴染さんのやつに決まってんじゃないすかぁ!俺ら先帰っちゃったから全然様子知らないんで。」



福良さんも教えて下さいよ、なんて周りにも話を振る。

すると今日の撮影に一緒に参加していた須貝さんが、



「あ、それ俺も聞きたい!」



と、話に混ざってきた。



「えー、普通に楽しかったよ。特に伊沢がもうすごいAちゃんの事気に入っちゃってさ。」

「あの調子だと本当に入社させる気だろうね。」



彼女と伊沢の間で順調に話は進んだ様で、とりあえず9月からバイトで入る事はほぼ確定したそうだ、と伝えれば、



「マジで?!」

「え、いつの間にそんな話になってんの。」

「俺も聞いてないなそれ。そうだったんだ。」



と、各々がそれぞれの反応をする。



「てか河村より結構年下じゃなかったっけ。いくつの子?」

「今ちょうど20歳ですね。一浪してるから学年的には乾と同じかな。」

「ひぇ〜若ぇなぁ〜!」



伸びをしながら、俺仲良くなれるかなぁ、なんて言う須貝さんに、こうちゃんがツッコミを入れる。



「須貝さんが仲良くなれないならもう誰も仲良くなれないよ。」

「確かに。まぁ、Aちゃんもめちゃくちゃ良い子だし話も上手い子だから、きっとすぐ馴染むと思うよ。」



と、笑いながら福良が言う。

そこで、ある事を思い出す。



「あ、そうだ。次伊沢がオフィス来るのっていつ?ちょっと話しておきたい事があって。」

「え?えーっと、確か明後日は顔出すって言ってたと思うけど。」

「あなたもいる?」

「うん、俺は普通にいる。」



もし本当にAのQuizKnock入社を見込んでいるのなら、一応彼女の昔話を少ししておいた方が良いだろう。

特に、伊沢と福良はこの間の飲み会で耳の話も知っている。



「じゃあ、ちょっと話せる時間作って貰えるとありがたい。」

「ん、分かった。」



さて、そろそろ休憩時間も終わる頃だ。

不思議そうに僕らの会話を聞いていたこうちゃんと須貝さんを横目に、僕は次の撮影の準備を始めた。

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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時

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