epi.16 スカウト ページ17
Your side
伊沢さんに誘われ、福良さんとたぁ兄を含めた4人で行われたプチ打ち上げ。
色々聞きたいとは一体何なのだろう、と少し身構えていると、
「あ、これ美味しい。」
とたぁ兄が呟く。
「ん、どれ?」
「このお通しのやつ。今度作ってよ。」
『え?!まぁ作れるだろうけど…』
急なリクエストに若干戸惑うが、彼はマイペースに箸を進めている。
すると伊沢さんが、
「Aちゃん料理得意なの?」
と、メニュを見ていた視線をこちらに向ける。
『得意って程でもないですけど、それなりに好きですね。』
「へー、じゃあ自炊してるの?」
『そうですね。外に買いに行ったり食べに行ったりする時間がなんか勿体なく感じちゃって。実際自炊した方が時間はかかってる様な気もしますけどね。』
というのは半分嘘で、単純に外に出るのが面倒くさいのだ。
よく偉いなんて言われるが、要は圧倒的インドア派なだけだ。
「ていうか、そこ2人かなり仲良いんだね。結構家とか行き来してる感じ?」
「そうね。わざわざ外で会うくらいなら直接家に行くかな。」
と、福良さんの質問にたぁ兄が答えた。
その後も、クイズの話や大学の話、お互いの専門分野の話などをしながら会は進み、そろそろお開きかな?と思った所で、
「あぁ〜!うちに欲しい!!」
と、伊沢さんが言い出した。
『え、急になんですか?』
「Aちゃんみたいな子絶対動画向きだって話!いや、結構真面目に考えてたのよ?うわぁ、来て欲しいなぁ。」
なんて言いながらお酒を飲む伊沢さんに、
「まぁ、AちゃんもAちゃんで色々頑張ってるからね。」
と福良さんが苦笑いしている。
え、夢?あまりに話がトントン拍子過ぎない?
願ったり叶ったりな状況にちらりとたぁ兄に視線を送れば、ほらね、と言わんばかりの微笑みでこちらを見ている。
正直信じられない。
でも、こんなチャンス逃すわけにはいかない。
『え、私入社してもいいですよ?』
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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時