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伊沢side



「これ、YouTubeの動画用の企画でもいいなって思ってるんですよね。」



我ながら、急な提案だと思う。

でもこれは事前に河村から話を聞いた時から考えていた事だった。

今、QuizKnockの動画に出ているメンバーは軒並み男だ。

もちろんそれ故の利点は沢山あるだろうし、男所帯ならではの空気感を気に入ってくれているファンの方も多いだろう。

だけど、もしそこに女性が入ったらどうなるのか。

人当たりが良く教養もあり、清潔感もある。

声も聞き取りやすいし、言葉遣いも綺麗だ。

それに、あまり見た目で判断するのは良くないかもしれないが、比較的容姿も整っている。

まさに彼女はその実験をするのに適任だった。

突然の提案だったにしてはそこまで驚いた様子を見せないAさんに、



「いや、今打ち合わせしてる時に色々喋りながら、話上手いし、割と動画向きの人なんじゃないかなぁって思ったんですよ。どすか、動画。出ていただけたりしません?」



と、畳み掛ける。

自然と一同の視線が彼女に向いた。

何も口を挟まない様子を見ると、他の2人も賛成なのだろう。

すると彼女はスっと笑みを浮かべ、



『はい、大丈夫ですよ。』



と頷いてくれた。



「マジ?じゃあちゃんと動画撮る方向で進めます!」



まさか二つ返事でOKが貰えるとは思っておらず、自然と声が大きくなる。



「何か条件とかNGとかあります?」

『あー、特には無いですけど、可能なら河村さんと幼なじみって事は伏せていただいても構いませんか?知らないところで色々勝手に推察されると面倒なんで。』

「それは全然大丈夫です。顔出しとかも平気ですか?」

『はい。もうコンクールとかコンサートとかでガンガン名前も顔も出ちゃってるし、こないだの記事で素性はある程度バレちゃってるんで、もうその辺は平気です。』

「OK、分かった。ありがとうございます!」

『いえいえ!こちらこそ素敵なお話ありがとうございます。撮影当日もぜひよろしくお願い致します!』



と、改めてお辞儀をする彼女に、ますます期待が膨らんだ。

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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時

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