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「とりあえず、参加決定ってことで、いいかな?」
振り返ると、先ほどの鼻眼鏡ではなく可愛いカボチャがあしらわれたライト付きの眼鏡をかけているふくらさんに声をかけられ、もう一度みんなを見渡した後、こんな可笑しくて貴重な機会はもう無いかもしれないと思い直した。
『じゃあ、飛び入りで申し訳ないですけど…ぜひ』
そう答えると、全員がワッと声を上げてくれて何だか恥ずかしさが増してしまった。
「ってなわけで、参加条件は仮装だから、Aも仮装よろしくぅ!」
伊沢さんにそう言われてはたと我に帰る。
(そうか、仮装、しないといけないのか…)
まだこの場の全員が何らかの仮装をしているのでハードルは低くなっているが、気恥しさは抜けない。
「な、何か余ってるのありますか?」
そう言いながら、辺りを見回して見ると。
山本「Aちゃんて小悪魔っぽい所もあるから、これ似合うと思うんだよねー」
伊沢「髑髏マスクだったら直接顔見えねぇし、恥ずかしくないだろ?俺と骨になるまで一緒にいようぜ!骨まで愛してーって事で!」
こう「いやそれマジで意味わかんないから!でもやっぱオバケが定番でしょ。可愛いし、ね?」
須貝「いーや、Aは俺が一噛みして同じ血族にするからドラキュラで決定な!」
河村「これフードマントかぶるだけだし、案外暖かいよ?オススメするけど」
鶴崎「魔女一択、これですよ。魔法使いよ?夢詰まりまくりでしょ?それに見てこれ。お菓子付きのステッキよ?」
山上「いやいやいや、ハロウィンなんてね、やっぱこれなのよ。かぼちゃが無いと始まらないんだから!」
ノブ「包帯とタトゥーシール余ってるんで、俺と一緒にミイラになりません?俺貼ってあげますよ?」
乾「いやそこはみんな分かってます?Aさんなんて猫耳が1番似合うに決まってるじゃないですか!」
ふくら「俺と一緒に光る眼鏡でおそろいにしようよ?まぁ、さっきの鼻眼鏡も余ってるけどね?」
その場にいた全員に、自らの仮装を勧められて迷ってしまう。
「はは、全員アピールがすげえな。で?どうするA?誰と一緒に仮装するよ?」
伊沢さんにニヤリと笑いながらそう言われて、俺でしょ?僕と!と声が重なる中、みんなが私に向かって手を差し伸べているこの状況に、少し胸の鼓動が高まった。
さて、誰とともにこの酔狂な一夜を過ごそうか?
意を決して、私はその手を掴んだ。
貴方が掴んだその手は、一体誰の?
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作者名:SEN | 作成日時:2021年10月16日 0時