褪色する春＿skab

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今週は桜が満開になるんだって。
確かに塾に行く途中に見た桜もかなり咲いてた。
泊まった日以来佐久間に会えてないけど、早く一緒に見れないかな。
でもお互いバイトとかもあるし仕方ないよね。
ただ時間見つけてはインクのゲームで通信して遊んではいる。

あとこの前驚いたことがあった。
そのゲームをした時なんだけど、お互いお風呂入ろっかってことで終わって、湯船浸かりながらスマホ弄ってたわけ。
そうしたら急に電話きて。
しかもテレビ電話。
どういうこと？と思って一応出たら


「いえーい。」


と言った佐久間も湯船からの電話だった。


「ねえこれ何。」
「え？
阿部ちゃんとお風呂。」
「いや意味分かんないし。」


水滴が滴る鎖骨とか、濡れた肌に浮かぶハートっぽい黒子とか、見せるのやめてくれませんか。
って、言えなかったけど。
あれはなかなか心臓に悪かった。
恐るべし同性同士。
いや他の友達からこんなことされたことないけど。
それでまた週末は遊びにおいでよって言われて、ちゃっかり泊まりに来てるのが今現在。



夕飯はまた一緒に作ろうって言われて。
今度は何作るのかと思ったらたこ焼きだった。
二人して一生懸命くるくるころころ。
で、最初は普通に作ってたんだけど佐久間の悪のりが始まって。


「これ入れよ。」
「ええ、それ？」


俺がお邪魔するのでと買って行った飲み物やお菓子の中からチョコレートを取り出した。


「あとこれ。」
「うわ。」


ラムネなんて絶対美味しくない。
後はグミとか。
最悪だ。
でももう入れちゃったからまた二人でくるくるころころ。
だいたいの場所は覚えたから、たこのだけ上手に食べたい。


「ねえねえ。」
「何？」
「お互いに選びっこして食べよ。」
「へ、」
「俺が選んだのを阿部ちゃんが食べて、阿部ちゃんが選んだのを俺が食べる。」
「うわ絶対嫌。」


大変なことになる、絶対。


「だってそうしなきゃたこだけ食べてあと残っちゃうじゃん。」
「なんでそれ分かってるのにあれ入れた？」
「いや、焼いてから気付いた。」


あははーと呑気に笑う佐久間。
なんだそれ。

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