優しい嘘【オリジナル】 (ページ28)

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23,不穏な風音ページ28

お先に作者より謝罪。

一年以上更新を停めてしまいまして誠に申し訳ないです……。
今後もゆっくりと気が向いた時に進めるスタイルでやっていきます。
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シヴァ・アスガル side
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｢カデンツァ…さん…？｣

今までとは比べ物にならない程の甘ったるい優しい気配を感じるのに悲しい顔のカデンツァに頭がクラクラとし目眩を催す。
どう声をかければいいのか私には分からず借りてきた猫のようにただその場に居ることしか出来なかった

しばらくの沈黙。
雲行きも怪しく雨が降りそうな分厚い雲の下に2人。
不穏な空気を漂わせる彼女たちは正常なヒトではない。
片方は車椅子に座った人間、もう片方は人間の形をした神だ。

そんな2人がただならぬ雰囲気で立っている。

沈黙に耐えられずシヴァは口を開いた。

｢カデンツァさん…どうしたんです…？｣

怯えるかのように恐る恐る、一言一言を噛み締めるように言葉を発した。

どうして良いのか解らず顔を伏せた。
冷や汗がシヴァの頬を伝う。

｢ふ……｣

笑うかのような息の吐き方にシヴァは顔を上げた。
彼女の目に笑いを堪えきれないカデンツァの姿が写る。

｢ふ…っ…ふふ！｣

カデンツァはもう我慢ならないといった様子だ。

釣られてシヴァも堪らなくなって緩んでしまう口元を慌てて隠すも唇の隙間から笑いが溢れてしまう。

｢｢ふっ……あっはは！！｣｣

2人の笑い声が夜の闇の中、木霊した。

ひとしきり笑いあっても笑い足りないかのような様子を見せる2人は先程までの緊張感などすっかり忘れていた。

笑い涙を左手に持ったハンカチで拭い、カデンツァは口を開いた。

｢先程の方、仲間にしたいと言いましたよね。
ですがシヴァさんとは意見が合わないようなのでやめました。｣

パッと明るい顔で言い放つカデンツァは今までとなんら変わりないカデンツァだった。

｢いいんですか？｣

｢はい、いいんですっ｣

間髪入れずに良いのだと言われ今までの圧迫した雰囲気は何だったのだとムスッとしてみせた。

そんな姿が面白かったのだとカデンツァはまたくつくつと笑い始める。

｢まぁ、それはさておきまして！お腹が空きませんか？｣

むっ……

確かに言われてみれば空腹感を覚えている。
ゲームとか言っていたが、この空腹感は現実(リアル)なものだ。

｢食料調達、再開しましょう！｣

＿そんな2人の頭上には黒い影が揺れていた。

to be continued