優しい嘘【オリジナル】 (ページ27)

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22,少女達は揺れ動くページ27

シヴァ・アスガル side
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目の前の人間はカデンツァが力量を見たいというので死なないよう手を抜いて戦った相手だ。

しかし私にはもう手を抜いて戦う余裕はなくなった。

＿＿＿目の前の人間は私の。

＿＿＿神の逆鱗に触れてしまったのだ＿＿。

するとカデンツァが焦ったように口で告げる

「シヴァさん！落ち着いて下さい！
彼女は仲間になる力量があります。

それに相手に悪気はないようですから…！」

確かにその通りかもしれない。
ずっと不幸な目にあった為に逆恨みをしてしまったのかもしれない。
辛い過去を誰かのせいにしないとやっていけないくらいに辛いのかもしれない。

ですが……。

かといって我々､神のせいにされるのは気分が良いものではない。
それに,この人間は我々神を侮辱してしまったのだから。

禍々しい程の殺気がシヴァを覆う。
彼女はまるで殺気に取り憑かれたかのように我を失っていた。

｢さて人間。貴方は私によって存在を抹消させられる訳ですがどのような抹消の仕方が良いですか？
神に怯えずに啖呵をきった褒美です。お応えなさい。

しかし安易に逝けるとは思わぬように。
私だってそう簡単に貴方を殺したくはないんです。｣

そう告げてみせると彼女は怯えながらも

｢私はここで死ぬような人間じゃないわ。私は生きてお母様に会うの。その為にも私は生きる道以外選ばない！｣

｢はぁ…わからぬ人間ですこと……｣

シヴァの目から十字架の紋様が消え,色は紫に戻っていた。

｢興醒めしました。さっさとお好きな所へ逃げなさい。それと……貴方のような人間に向いていませんよ。戦場は｣

そう言い放ちぴょんと跳躍し,夜の暗闇へと姿を消した。
興醒めとは言ったが怒りが収まる訳もない。
その溜め込まれた怒りをその人間に当て発散するのも良かっただろう。

むしろそのつもりだった。

カデンツァさえいなければ。

今回の事でハッキリと分かった。
私にとって彼女は邪魔だ。

か弱くて小さい人形みたいな彼女は私が行動を成す上で必要不可欠でありながらも,邪魔な存在だった。

｢さてこれからどうしたものか…｣

好物の赤く熟した身を手に取り、貪る。
やはりいつ食べようとこれは美味しい。

怒りに任せて暴食をする彼女の後ろに黒い影が揺れた。

｢｣

気配を感じ、ハッと振り返るといつになく優しげな、それでいて悲しい顔をしたカデンツァが静かに笑っていた。

to be continued