優しい嘘【オリジナル】 (ページ25)

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20,伝える事がページ25

ゼロ・エイリアス side
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俺はピットと共に街までやってきた。
人間には必要とされている衣食住が揃っているのがこの街だったからだ。

この街は以前に訪れたことがあった。
その時は大都市として人間が行き交う騒がしい街だったのに…。

ピット「これも演劇(ゲーム)のせいなのかな…？」

不安げに俺の服の裾を掴む。

無理もないだろう…。
ピットは人間と和平を結んでいる女神の遣いなのだから…。

「そうだな。酷いものだ。」

この言葉も気休め程度にしかならない。
言葉だけでは本当の気持ちなど伝わらない。

だから俺の本当の気持ちもピットには伝わらない。
俺が吐いた嘘だってきっとまだ気付いちゃいない。

そんな事を考えながら暫く歩いていく。
こんな気持ちでピットと接するのは良くない。
頭で考えた事が出来ないほど俺は意思が弱くなってしまったのだろうか。
頭の中だけで言葉を呟いていった。

途端に遠くの方から花火にも似た音が聞こえてきた。
ピットが先程よりも強く俺の裾を握る。

ピットを危険な目に合わせる訳にはいかない。

俺の中の誰かがそう言った。
体が重い。思うように動いてくれない。
だけど守らなければ…。ふと体が軽くなる感覚が俺を襲った。

ピットが心配そうにこちらを見ていた気がした。
ピットの方を見る余裕は俺の中にはなかった。

「俺の意思に応えろ…。ピットを守れ…。
……力を封印せし者オーディン…。」

俺はオーディンにピットとその場を任せ､音のする方へと飛び去った。

思えばこの時にちゃんと伝えるべきだったな。

すまない…。ピット。

to be continued