さん ページ3
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さっきの理鶯の顔を思い出してはバクバクと音を立てる心臓。
ずるずると腰を下ろして座り込む。
と、
ちょうどその時、携帯が震えた。電話の主は左馬刻。めんどくさくなりながらも、気を紛らわす意味も込めて通話ボタンを押した。
「…もしもし、」
『テメェぶっ飛ばすぞ!クソ女!!』
「朝からうるさ……」
『俺様からの電話無視してんじゃねえ』
電話越しの左馬刻はやっぱりうるさくて、電話を取ったことを早々に後悔しそうになった。というか、後悔している。
「で、なに」
『ヨコハマで暴れてる輩がいるつーからそいつらシメんぞ。テメェも出てこい』
「めんどくさい。勝手にやりなよ」
『うるせえ。いいから来い』
一方的に切れる電話。
すぐに「ここに来い」と指定された場所の位置が送られてきた。
…仕方ない、行くか。
支度をするために立ち上がって部屋の扉を開ける。するとそこには理鶯が立っていた。
「わ。びっくりした」
「…A、どこかへ行くのか」
「左馬刻のとこ」
じ、とわたしを見る理鶯。
あ やばい。さっきのこと思い出すと…。顔赤くなってきたかも。
「…先程はすまなかった」
「え、」
「突然触れそうになって。言い訳に聞こえるが、小官も無意識に手が伸びて、貴殿に触れたいと思っていた。」
「ちょ、!」
「頬を染める貴殿が可愛らしくて…、」
「す、ストップ!!!」
誰に聞かれるってわけではないけど急いで両手で理鶯の口を覆い、これ以上はだめと言うような視線を送った。
理鶯は素直に私に従う。
………平気な顔して、なんてこと言ってんの、コイツ。
困惑しつつも、ゆっくり手を離す。
「許してくれるだろうか」
「…うん、」
「そうかよかった。…A、」
「なに?」
「出掛けるときは気を付けるんだぞ」
「……理鶯もでしょ」
優しい顔で笑う理鶯。
この笑みは、とても安心する。
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LOKO - ずっと探してました!素晴らしい作品をありがとうございます (2021年6月12日 13時) (レス) id: 2cf4de4ba9 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - すごく面白かったです。甘々で、凄く好きな作品でした!もう更新はしないのでしょうか?とても好きになってしまった作品なので少し悲しいです。待ってます。 (2019年9月3日 7時) (レス) id: 1bc282c048 (このIDを非表示/違反報告)
涙香 - まずありがとうございます!!←理鶯は天然だけど何処か色気があって雄みがあるんですよね…!!それが匠の様に表現されていて本当に悶えました←本当にこの作品大好きです…! (2018年11月26日 1時) (レス) id: b0edcd9996 (このIDを非表示/違反報告)
タピオカ(プロフ) - 理鶯って天然って云うか鈍感なところあって、いいですよね!更新頑張ってください (2018年7月17日 2時) (レス) id: df53b8b7ae (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 最高です……( ゚∀゚)・;’.、グハッ!! (2018年6月27日 9時) (レス) id: d9386c92f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いさ | 作成日時:2018年6月14日 19時