検索窓
今日:8 hit、昨日:1 hit、合計:97,862 hit

ふた ページ2

*


「おいしい」


わたしは理鶯が作るご飯が好きだ。
たまに変なものもあるけど、味は間違いない。

理鶯のご飯は好き。


「そうか、良かった。Aが喜んでくれることを願って作ったから」


理鶯のこういうところは嫌い。


「……理鶯は今日どっか行くの?」


甘い雰囲気が苦手で無理やり会話を変える。
理鶯もわたしと同じ料理を口に運びながら「ああ、」と相槌を打った。


「今日は森に行こうと思っている」

「…ちゃんと帰ってきてよ」

「はは、そうだな。小官が帰ってこなければAは栄養失調で倒れてしまうからな」


わたしと理鶯が半同居をしている理由。
その理由の中で一番大きいのがご飯だ。
自炊ができなくて外食か出前を繰り返してたわたしに「良いメシ屋教えてやんよ」という左馬刻の紹介で出会ったわたしたち。

わたしが理鶯のご飯に惚れて、思わず一緒に住もうと言ったら理鶯は頷いてくれた。
これには左馬刻もビックリしてたけど。


「そうだよ。わたしのこと殺したくなきゃ今日もちゃんと帰ってご飯作ってよね」



少し意地悪を言ってみた。
困る理鶯が見てみたくて。

ちょっとした好奇心。



なのに、



「小官がいないと生きていけないんだな、Aは」

「は、」


ご飯を口に運ぶ手を止めて理鶯を見ると、理鶯もまたこっちを見てた。ぶつかる目と目。


…生きていけない、って、なに。


理鶯がいなくてもわたしは生きていける。
理鶯はただ、ご飯を作るひとなわけで、



「頬が赤いぞ」


伸ばされた手が頬に触れる前にお皿を持ち上げてご飯をかきあげる。そして勢い良く席を立った。


「ごちそうさま!!!」


自分の部屋に入って、扉を思いっきりしめる。




なに。なに、あの目。


ギラギラした目だった。
獲物を見つけた動物のようだった。




触れられてたら、多分わたしは、




「………食べられるかと思った…」

さん→←ひと



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (356 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
600人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

LOKO - ずっと探してました!素晴らしい作品をありがとうございます (2021年6月12日 13時) (レス) id: 2cf4de4ba9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごく面白かったです。甘々で、凄く好きな作品でした!もう更新はしないのでしょうか?とても好きになってしまった作品なので少し悲しいです。待ってます。 (2019年9月3日 7時) (レス) id: 1bc282c048 (このIDを非表示/違反報告)
涙香 - まずありがとうございます!!←理鶯は天然だけど何処か色気があって雄みがあるんですよね…!!それが匠の様に表現されていて本当に悶えました←本当にこの作品大好きです…! (2018年11月26日 1時) (レス) id: b0edcd9996 (このIDを非表示/違反報告)
タピオカ(プロフ) - 理鶯って天然って云うか鈍感なところあって、いいですよね!更新頑張ってください (2018年7月17日 2時) (レス) id: df53b8b7ae (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 最高です……( ゚∀゚)・;’.、グハッ!! (2018年6月27日 9時) (レス) id: d9386c92f1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いさ | 作成日時:2018年6月14日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。