主導権はどちら？【毒島メイソン理鶯】

ひと ページ1

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ブー、ブーと携帯のバイブ音が鳴る。
朝の目覚めとしてはこれはあまりよくない。


重たい目を擦って画面を見る。表示されたのは『左馬刻サマ』の文字。本人に無理やり登録された名前だ。


私は舌打ちをして携帯の電源を切ってもう一回眠ろうとした。毛布を足に挟んで抱き締めるような体制をとる。


あんなヤツはどうでもいい。寝よう。


今日は一日中寝るって決めてた。


……やっぱりまだ眠い。
またウトウトとしはじめる。





すると、

ギシ、とベッドが軋む音が聞こえた。


「A、」


わたしの耳を擽る低音。
心地いい。


「…おい、A」


ゆっくりと目を開けると、わたしの顔の横に手をついて覆い被さるように上に乗っている男が視界に入った。


目と目がぶつかると微笑んで、また「A、」とわたしを呼ぶ。


「…りおう、」

「起きてくれたか。おはよう」


優しくて大きな指先で目尻を撫でられ、体を起こしてわたしから離れた。

「……なんで起こすの」

「小官としては起こしたくなかったのだが、どうやら左馬刻がAに用があるらしくてな」


…わたしが電源切ったらコイツに連絡したのかよ。


どうやらわたしには逃げ道がないらしくて。諦めてベッドから出る。
すると、いい子だと言わんばかりに頭に手を置いてポンポンと動かした。


…こういうの、子供扱い、って言うんだけど。


案の定、「起きて偉いな」って声が聞こえた。
子供扱いは嫌だけど、褒められてまあ悪い気はしない。


「理鶯、ご飯食べたい」

「ああもう作ってあるぞ」



コイツの名前は、毒島メイソン理鶯。
わたしの『半』同居人。

ふた→

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