ぴゅあ恋 (ページ19)

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優斗side

人ごみをかき分けて全力で走る。

高い気温も祭りの熱気も、顔を滴る汗もどうでもよかった。

ただ、Aが今野と一緒にいる、という事実だけが。

それだけが許せなくて。

何も考えずにAと祭りに行ける、と喜んでいた罰なのか。

Aの笑顔が俺の大好きなそれだったから。

もしかしてワンチあるんじゃね、なんて浮かれていた罰なのか。

ただただ走り続けた俺の目に映ったのは、今野に頭を撫でられて恥ずかしそうにしているAの姿だった。

茫然と立ち尽くす俺が視界に入るわけがなくて、今野はAの頬に手を伸ばす。

驚いたように笑ったAが今野に触れようとしているのが見えた。

嫌だ。

ポッと出の転入生に俺がやすやすと負けると思うか。

『A！！』

気が付いたら、俺は俺特有のデカい声でAの名前を叫んでいた。

「、優斗！」

驚いたのか一瞬肩をビクッと揺らしたAは、俺を見つけて俺の大好きな笑顔を浮かべた。

そのまま駆け寄ってきてくれるAが可愛すぎて上がりそうになる口角を必死に押し戻す。

『マッッッッジでごめん！！！』

「んーん、大輝くんが助けてくれたから」

『…助けた？、怪我とか！？大丈夫？痛いとこ、』

「いや、ちがくて、、なんか派手な男の人に絡まれちゃって」

ここまで聞いてメンタルがやられないやつなんているのか。

好きな女の子がナンパされかけて、それを助けたのがまさかのライバルしかも超イケメンとか。

パッとAの後ろを窺うと、Aを愛おしそうに見つめる今野と目があった。

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