恋の罠【綾部喜八郎】

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喜八郎は、階段を息切れしながらもダッシュで登った。
「(違う、ここの階じゃないっぽい。でも、あの時微かに聞こえたんだ。)」
すると、奥の通路に続く廊下があった。
こんな所行ったことないなと思い、一応行ってみることにした。

すぐに、行き止まりになった。
幽霊が今にも出そうな教室が沢山あった。
やっぱり、こんな所にいないだろうと思った次の瞬間。

「ッざけ……んなッ…！！！」

微かに聞こえる声と、ドンドンした音。
喜八郎は、聞き逃さなかった。

音の聞こえる方へ、物音を立てずに静かに行くと 立ち入り禁止の紙が貼ってあった教室があった。
そこから、誰かの声が聞こえる と、耳をドア越しに傾けた。

「A！！」

「(これは、立花先輩の声！Aという名前が出た。この中にAは、間違いなくいる。)」

喜八郎は、衝動でドアを開けようとしたが もし自分がやられたら何も役に立たないと 一旦その場から離れ潮江に電話をした。

「潮江先輩！第三校舎の、奥の通路の貼り紙が貼ってある教室に立花先輩と僕の同級生がいます。どうやら、茶華道部の後輩がいじ めを…！」

『事情は、他の奴らから聞いた！今からそっちに向かう！』

＿＿＿＿
「ここか！喜八郎！」

「はい…！」

「お前ら開けるぞ。」
潮江先輩の後ろには、見覚えのある色んな部長さんがいた。

そして、ドアが開いた。

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