106話 聖side ページ7
聖side
岳斗君達が着て数十分後、靴を履いてる岳斗君達を見送ろうと、玄関の前で立っていた。
「悪りぃな聖、急に家に押しかけちまって」
「ううん、大丈夫だよ。元はと言えば勝手な理由で休んでた僕が悪いんだから」
「ほんとにびっくりしましたよ、何かあったら私達にもちゃんと相談してください。一人で抱え込むのは絶対ダメですからね！」
「あはは……肝に銘じとくよ……」と苦笑いをする。
「せ、聖っ！」
真冬ちゃんの隣にいたセシルが、僕の名前を声を張って呼んだ。
引っ込み思案のセシルが大声を出すのは滅多にない事で、僕も少し驚いていた。
「えっと……何？ セシル」
「あ……その……か、風邪が治ったら、また一緒に帰ろうね！ それと、私も聖の足を引っ張らないように、頑張って強くなるね！ あ、後、それと……風邪良くなったら一緒に帰ろう！」
「セシルちゃん、同じこと二回言ってるよ！？ 」
シンプルで単純な事のあまり、クスッと笑ってしまう。
「うん、ありがとう。来週までにはちゃんと治すね！」
「う、うん、待ってる！」
セシルの笑顔を見ると、僕もつい笑顔になってしまう。あのまま仲直りしてなかったら、こんな風に出来なかったかもしれない。
これも岳斗君達のお陰だ、感謝しても仕切れない。
「ちっくしょー、聖までそっち側なのかよー……！ 微笑ましいもん見せやがって……！ 邪魔できねぇじゃねぇかこの野郎……！！」
「アホの癖に更にアホな事言ってんじゃねぇよ。ほら、とっとと帰んぞー」
「あ、待てよ！ もうちょい見せろ！ ちょっと、あぁぁー！！」
貴史君は何かおかしな事を言いながら、岳斗君に襟を掴まれそのまま引きずられて行ってしまった。
「なんか騒がしくしちゃってすいません……それじゃあ、私達もこれで。セシルちゃん、行こう」
「うん、それじゃあ待たね、聖」
「うん、待たね」
真冬ちゃんとセシルも挨拶をすませると、2人の後を追いかけてそこから去って行った。
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