120話 ページ21
聖side
「聖、ゲーム好きなの…?」
「好きって言うか…僕の友達が好きだったんだ」
中学の頃、僕と仲が良かった親友の事が脳裏に浮かぶ。
「ほら、僕って見るからにいじめられっ子キャラじゃん? 弱気でいつもオドオドしてるから、よく目をつけられやすくて。小さい頃からそんな風だったからクラスの人とも打ち解けることが出来なくってね。
でも、そんな気弱な僕に話しかけてくれた子が居たんだ。最初はただの物好きかなって思ってたんだけど、その子と一緒に居る時間が楽しくなってきて、ゲームだってその子に誘われてよくやってたんだ。
それに、僕がブレイダーになったのだって、その子が理由でもあるんだ」
「今はもう、何処かに行ってしまったけどね…」と、中学の頃を懐かしみながらしみじみと話す。
僕が思い出に浸っているのを見て、数人は複雑な心境なのか目を逸らしたり顔を伏せたり、他の人はただ真顔でポカンとしているのに気づき、無意識に自分語りしてたのに気づく。
「あっ……あぁ、ごめんね! なんか余計なこと話しちゃったね! そ、その……僕、2階のトイレ行ってくるね!」
「えっ、1階にもトイレありますけど……」
自分の過去を話してしまった事の恥ずかしさで少し慌てながらも、その場から離れようと席を立ち、真冬ちゃんの言葉を聞き流し早足で2階のトイレへと向かった。
「はぁ……何やってんだよ、僕……」
綺麗に清掃された白く広いトイレフロアで、蛇口から流れ出る水に手を当てながら、鏡に映る自分に向かって溜息をつく。
みんなの前で自分語りし出すなんて、僕らしくない。久しぶりに誰かと遊ぶから気が緩んでしまっていたんだ。
みんな、きっとドン引きしただろう。急に一人で思い出に浸り出して急にその場から飛び出していくんだから。
「この後どうしよ……」
顔を伏せて深い溜息をまた吐く。
途端、背後に居た誰かに肩を思い切り掴まれ、「うわぁっ!?」と体を飛び上がらせた。
「へへっ、驚いてやんのー」
聞いたことのある声がし背後を振り向くと、やってやったりと言わんばかりに笑っている岳斗君がそこに居た。
「が、岳斗君…急に脅かしてこないでよ…」
「悪りぃ悪りぃ、つい魔が差してな。にしてもいい反応するよなー、お前。見てて飽きねぇわw」
「ぼ、僕で遊ぶのやめてよ…」
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