100話 岳斗side ページ1
岳斗side
「順風満帆だったら、こんな風にはなってねぇよ」
そう言うと、三人は何かを察したのかそれぞれ気まずそうな顔をした。
「そうだよな、聖が来なくなってからしばらく経つもんな……」
「聖……」
聖が来なくなってから3週間、携帯も繋がらず、聖がどうなってるのかも検討がつかないままだった。
不良のリーダー格であるあいつも不登校になり、いじめは無くなったといえば嘘になるが、以前よりは平和になった方だ。
だが、それでも聖の事が気がかりで仕方なかった。
「聖さん、あの日からなんだか様子おかしいよね……大丈夫かな……」
「……私のせい……だよね……」
そう呟いたセシルの顔には陰がかかっており、今にも泣きそうな表情だった。
「な、何言ってるの、セシルちゃんのせいじゃないよ。セシルちゃんが責任感じる事なんてないよ」
「ううん……私の責任だよ。勝手に突っ走らなければ、こんな風にならなかった」
「セシル……お前……」
「聖の事、守るって決めたのに……これじゃあ全然守れてないよ……」
セシルは悔しそうにギュッとスカートを握り締める。
あの時、セシルは仲間の為というより、聖の為に自分の身を犠牲にしようとした。
性格が変わるほどの聖への執着心があるなんて……聖とセシルの間に一体何があったんだ?
セシルの方を見て考え込んでいると、突然貴史が立ち上がり、「よしっ! 」と何かを決断するかのように言った。
「こうなったら今日の放課後、あいつの家に突撃しようぜ!」
「……は? 突撃?」
「そうだ、あいつがどうなってんのか気になってんだろ? なら実際家に行って本人に確かめた方が早いじゃねぇか! お前らにとって大切な仲間なら、あいつは俺にとっての大事な友達だ。あいつがいねぇとつまんねぇからな!」
「貴史、お前……たまには真っ当なこと言えんだな」
「なんだそのいつもまともじゃねぇみたいな言い方は!! 俺はいつだった真っ当なことを言ってるだろ!!」
でも、貴史の言う通りだ。何もせずに頭だけで考えてても仕方ない。あいつもBREAK DRIVEの一員なんだ、ほっとく訳にもいかない。
「じっとしてるのも癪だしな。行ってみるか、聖の家! 」
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