91話 ページ42
岳斗side
エレベーターで地下1階に降り、すぐそこにある使われなくなった休憩室に入ると、俺達以外の全員が既にそこに居た。
「岳斗、もう大丈夫なのだ？ 」
「あぁ、バッチリ治してもらったぜ。ただ……おっさんが先生を怒らせて危ない目に合いそうだったけどな。それよりも、セシルと永也ももう大丈夫なのか？ 」
「うん……もう大丈夫」
「が、岳斗さん達のお陰です……あ、ありがとうございます……！ 」
セシルは少し声が震えながら、勢いよく頭を下げた。
「あのまま見捨てるのもなんか俺の性に合わねぇからやっただけだ。感謝される筋合いなんてねぇよ。それに、俺達はもうチームなんだから、敬語とかさん付けじゃなくて良いんだぜ」
少しワタワタとさせながら「は……う、うん……！」とぎこちなく返事をする。
戦ってた時は殺気ガンガンに出して戦ってたのに……戦いが終わると元の人見知りに戻るって、二重人格なのか？
「それはセシルが聖の事を大事に思いすぎてるからでござるよ、岳斗」
心を読まれたかのようにシンに横から言われ、思わず「うわっ！？ 」と声を上げてしまう。
「さ、さりげなく俺の心読むなよ！ びっくりしたろ！！ 」
「シンは侍でござるよ。それぐらい読めるでござる」
「侍って言葉便利だなおい……」と少し呆れながらシンを見る。
「セシルは聖の事が大事過ぎて、聖を傷つけられてしまうと感情的になって性格が変わってしまうのでござる。それで何度か問題を____」
「し、シン！ 恥ずかしいんだからそれ以上はやめてよ！ 」
セシルは恥ずかしさで顔を赤くさせながら、シンの口を咄嗟に抑えた。
「し、仕方ないよ……聖を傷つけられるの見てられないんだもん……」
「あーもういい、大体理解したからな」
シンとセシルの話でどう言う奴なのかは大体わかった。
知ってはいけない一面を知ってしまった気がして少し怖いが。
「っ……」
その話を聞いていた聖は顔を伏せて悔しそうに右腕を握りしめる。
「聖……」
「そんじゃ全員揃ったって事で……そろそろ説明してもらうぜ。あの時、あの場所で何があったのかをな」
おっさんはいつもより声のトーンを低くし、家では見せないような真剣な表情になる。
俺達はその気迫に少し息を呑み、俺達はあの時何があったのかを説明した。
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