89話 大和side ページ40
大和side
「クソがぁっ！！ 」
数本の大きな柱が立ち並んだ白く染まった広い廊下で、柱に向かって拳をぶつけ、その衝撃音が周りに反響する。
拳を引っ込めると、余程の威力だったのか、柱にはヒビが入っていた。
だが、それでも俺の怒りは収まりそうになかった。
「ちょっと大和ー、一応教会なんだから無闇に物を壊しちゃいけないよ？」
「知るかそんなもん！！ カスブレイダー如きが……俺に傷を付けやがって……！ いつか全員ぶっ殺してやる！！」
「荒っぽいなー、そんなんじゃ神様から天罰を食らっちゃうよ？ 僕みたいに純粋で清らかな心を持った信者にこそ神様は微笑むんだから」
「前は『神様なんているわけないじゃん』って言ってたのに、言ってることが違ってるにゃー」
「えへっ、バレちゃった？」
「大和、さっきも言っただろ、俺達のレベルならいつだってあいつらを殺せるって」
「そうだよ大和、今焦っても仕方ないよ。少し遅くなったって、私達の悲願はいつか必ず……」
「甘ったれた事言ってんじゃねぇ！！ 」
俺の中の苛立ちが更に膨れ上がり、柱をまた殴りつける。
「あの時てめぇらが邪魔してなきゃ全員ぶち殺せたんだ！！ 忘れたわけじゃねぇだろ、俺達がクソッタレな人間どもに、何をされてきたか……！！ 」
声を荒げながらそう言うと、3人は何も言わずに気まずそうに目を背けたり、嫌な事を思い出すかのように顔を俯かせたりした。
「何も考えずに行動するのは、愚かな野人どもがする事……貴様はそうではないだろう？ 大和」
3人分の足音がその場に響き、声がした方を一斉に振り向いた。
「てめぇら……」
「3人して何やってたの？ こっちはとっても楽しいことになってたのにさ」
「やるべき事をやっていただけ。命令は必ず遂行しなければならない」
「そんな事よりよぉ……あいつに会ったってほんとか？ 」
「あぁ……お前達の言う通り経験値稼ぎにもならない雑魚どもだった。まぁ、少し腕の立つ奴はいたがな」
祐介がそう言うと、1人の男が満足げにニヤリと笑みを浮かべた。
「おーそうかい……ははっ、ますます会うのが楽しみになってくるぜ」
「貴方がどうなったって私には関係ないけど、足だけは引っ張らないでよ」
「はっ、そりゃこっちのセリフだ」
「後は私達に任せておけ。愚かな人間どもに、絶望の旋律を奏でてやろう……！ 」
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