79話 ページ30
岳斗side
「何がBREAK DRIVEだ、くだらない！！ たかが政府の犬如きが図にのるな！！ 貴様らの様な穢らわしい邪教どもにやられる我らでは無い！！ 」
男がそう言うと、赤い宝石が埋め込まれた方の手を掲げ、他の数人も同じように掲げる。
「さぁ、我らが魔隆よ！！ 我が身を贄として捧げ、その力の糧とするが良い！！ 全ては理想の世界のために！！！ 」
それに合わせるように他の魔従達も復唱すると、赤い宝石が光り、その力と共鳴するように一体のゴーレム型の大型魔隆が大きな雄叫びを上げた。
「グォォォォォォォ！！！！ 」
咄嗟に耳を塞ぐが、あまりの声の大きさに頭にうるさく鳴り響く。
目を赤く光らせた大型魔隆は俺達に見向きもしないまま、地響きをさせて魔従達の方へと駆け出していき、先程の男を掴み、自分の顔の前まで持ち上げる。
「な、何をする気なのだ！？ 」
「刮目せよ。全てを破壊するの力を持った絶望を与えし魔隆、
甲高い笑い声を上げると、魔隆は大きく口を開けて男を口内に運び込み、そして____
男の上半身を、食い千切った。
「……はっ……？ 」
食い千切られた身体からは大量の血が滴り落ち、魔隆は残った下半身も喰らい尽くす。
「うっ……！ 」
あまりの惨さに真冬は口を抑えるが、俺は即座に真冬の両目を右手で塞いで見えないように隠した。
「見るな真冬……お前に耐えられる様なもんじゃない……！ 」
男を食った魔隆は次々と赤い宝石を掲げている魔従達や、下級の魔隆達を掴んで喰らっていき、食べるたびに段々とその姿を変えていく。
「た……食べてるよ……人だけじゃなく……仲間の魔隆すらも食べてる……！ 」
「なんなのよあいつら……食べられるってのに、なんであんな笑顔を浮かべられるのよ……！！ 」
食われていく魔従達は、全員が幸せそうな笑みを浮かべて食べられていた。
「ウォォォォォォオオオオオ！！！ 」
頭から生えた放つの大きな角、背中から出てきた二本の赤黒い腕、胸には大きな赤い宝石、そして血に染まった真っ赤な瞳、その姿は、
「これが……
その光景に俺達は立ち尽くしたまま見ていた。何も出来ずに、ただ残酷な現実を突きつけられていた。
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