76話 ページ27
岳斗side
魔従達は全員手を挙げ、手の甲に埋め込まれた大きな赤い宝石を見せる。
「！ あの宝石は！！ 」
見間違いじゃなきゃ、あれは俺が初めて魔隆を倒した時に拾った赤い真珠だ。それがなんであいつらの手に……！
「リミテッドクラインの方々！！ 後は我々にお任せくださいませ！！ 」
「っざけんな！ そいつらは俺が殺す！！ 邪魔すんならてめぇらもまとめて____」
大和がそう言いかけた所でノラは大和の首の襟を掴んで引きずっていく。
「おいノラッ！！ 離しやがれ！！ 」
「またあいつらと戦う機会はあると思うだぜ、 今じゃなくても平気だぜ！！ 」
「あいつらは俺達が本気を出せば余裕でオーバーキルできる。一時撤退するのもテクニックの１つだ」
祐介やノラに宥められた大和は、もう何も言い返すことが出来ず、悔しそうに俺のことをギッと睨みつけた。
「ちっ……クソが……！！ 」
「早く行こうにゃ、菜乃花」
「うん」
菜乃花は扇子を開いて流す様に扇ぐと大和達の周りに花吹雪が巻き起こる。
「逃げられちゃうのだ！！ 」
「逃がさない……！！ 」
永也は大和達に向かっていこうとするが、魔従達に行く手を阻まれてしまう。
「全ては理想の世界の為に！！！ 」
1人の男がそう言うと、周りにいた魔従達もつられる様に「全ては理想の世界の為に！！！ 」と復唱する。
その声が聞き届いたのか、赤い宝石から目の様な物が現れ、その目が光ると、こじ開けられるかの様に無数の空間の亀裂の様な物が現れていく。
「異界の扉！？ 人間が開ける事なんて出来ないはずでござる！！ 」
「次から次へと……今日はあり得ないことばかり起こるな」
異界の扉から沢山の大きさや形も違う魔隆が現れ、雑魚魔隆も入れば、能力や知能を持ってると思われる上位魔隆も居た。
「精々頑張ってね、最下級ブレイダーの皆さん♪」
俺達に手を振りながらバカにするかの様な態度を取る。
その一方で、大和の方は俺の事を睨み続けていた。
「岳斗ぉ！！ てめぇだけは俺が絶対にぶち殺す！！ その人間面を、いつか絶望の面に変えてやる！！！ 小便チビらせるくらいガタガタ震えて待ってろ！！ クソ野郎が！！！ 」
鬼の様な表情をしながら左手の親指を下に向けると、花吹雪の勢いは更に増し、花吹雪が消える頃には、もう大和達はそこには居なかった。
「なんなんだ……って、そんな事に構ってる場合じゃねぇ」
周りを見てみると、魔隆達は俺達の事を獲物を見るような目で見つめていた。
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