71話 ページ22
岳斗side
「聖っ！！ 」
シンが聖を助けようとヘアバンドの青年に殴りかかるが、いつのまにか目の前にいた猫耳帽子の青年の膝がシンの鳩尾に食い込み、腹を抑えてその場に倒れる。
「あっ……かっ……！！ 」
「あ、ごめんごめん。僕って足癖悪くってさー、小さいから気がつかなかったよ」
猫耳帽子の青年は倒れこむシンを横目に、貼り付けたような明るい笑顔を見せる。
「僕の仲間に、手を出すな！！ 」
敵に襲われている俺達を見ていた永也は両腕を魔隆の黒い腕にし、地面にヒビが入るくらい足に力を入れ、凄いスピードで走り出し、涼子に殴りかかる。
だが、拳を放つ瞬間に花弁の竜巻が目の前で起きた。
「！ 花弁…！？ 」
花弁の竜巻から距離を取ると、竜巻が消え、そこには桜のような柄が入った扇子を持った方が出ている桃色の浴衣を着た少女と、白いワンピにジャケットコートを着た三つ編みをした白髪の少女が現れた。
「悪いけど……邪魔はさせないよ」
「スズ達が相手にゃー」
「くっ……」
「聖、シン、永也っ！！ くっそ……！！」
完全に包囲された。こんなにもいるなんて予想外だ。
それにこいつらのリクトル、とんでもなく大きく____
「あれ……？ 」
敵のリクトルを見るが、何故だかそのリクトル全てに既視感があり、月見と初めて会った時と同じ感覚がした。
「なんだ……これ……」
その時、一瞬だけだが毎日見てる夢を思い出し、激しい痛みが頭に走る。
「っ！？ 」
その痛みについ頭を抑える。
「！ 岳斗！！ 」
「だ、大丈夫だ……！ 心配すんな、月見……！！ 」
今の頭痛は一体……こいつらに何かあるってのか……？
「てめぇらも来たのかよ、ちっ……クソが」
「別にいいじゃん。前回一人で楽しんでた分、僕達も楽しませてもらうからね。ねー？ 菜乃花」
「そう言われても……本当はこういうの苦手なんだよ？ あんまりしたくないのに……」
「気にしない方がいいにゃ、気にし過ぎちゃうのは菜乃花の悪い癖にゃ」
「そうだけど……」
「菜乃花、俺達の願いは１つのはずだ。俺達と協力プレイが出来ないのか？ 」
「そ、そんな事ないよ！ 私だって____」
「あーはいはい、話を振った僕が悪かったよ。仲間割れしてる場合じゃないでしょ？ 」
余裕があるのか普通に喋っているが、俺達がピンチなのは変わらなかった。
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