Prisonerworld【小説】 (ページ48)

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ちょっと作り過ぎちゃってのノリ【攻】【長門奏】ページ48

時間は昼過ぎ、おやつの時間と呼ばれる時間の一時間ほど前だろう。
地下シェルターなのでそりゃ陽射しとかは来ないが、何日間も此処に居ると、段々分かるようになって来るものだ。人の慣れって凄いんだなぁ、とつくづく思う。
さて、そんな時間に私は何をしてるかというと、特に拷問だとかそんな事をする訳でもなく静かに、平和に、裁縫をしていた。
誰が箱庭を管理しているのかなぞ知らないが、このレボディショナルのシェルターに初めて来た時には食材が何故か異様なまでに充実していたり、布やら服やらなんやらもとんでもない量あったものだから、こうして多少自由に裁縫する事も許されるから、こうして暇つぶし程度に猫なんかを作ってみたりしてるのだ。
流石に戦闘終了してすぐの日に鍛錬する程私はタフじゃないので、今日くらいは裁縫してもいいだろう、と思いながら布を裁断する。

「…あ、ずれ…てなかった、大丈夫ですよね？…うん、大丈夫ですね。」

誰に聞かせる訳でもない一人言を漏らしながら、弛んだ糸をぴんと張る。
この一部分を縫い終わったら、後は綿を詰めてひっくり返してちょっと縫うだけなのだが、こうして何かを形作るのは、人体改造をしてるみたいでちょっと興奮するのは秘密だ。

「後は綿…あれ、綿どこ置きましたっけ……あぁ、あったあった」

机の端に置かれていた綿を掴み、少しづつ布の中に詰めていく。後は端を縫うだけで小さい黒猫が完成する訳だが、さて、ここで問題がある。
特に何も考えないで作り始めたコレだが、何処に置くか。いやまぁ、そこら辺に置いたら良いのだろうけど、自分で作ったものを自分の部屋に置くのは、少しの虚しさがするものだ。別に良いのだが、丁度よく誰かが引き取ってくれないだろうか。颯様に渡すにしろ、渡すような状況が無いので、頭を抱える。

「……………次顔を合わせた人に貰ってもらおう。」

ちょっと作り過ぎちゃって、のノリで渡したらきっと貰ってくれるだろう。うん、きっと大丈夫。そう思いながら裁縫道具を片付けると、中々に綺麗に出来てしまった小さな黒猫を片手に軽く握ると、引き取り手を探す為にドアノブを回した。