Prisonerworld【小説】 (ページ44)

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一日の最後に【攻】【高瀬四温】ページ44

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「つ゛か゛れ゛た゛……」

風呂からあがった俺はベッドに身体を投げ出し、肺中の空気を吐き出す勢いでため息を吐く。
全身が痛い。多分筋肉痛だ。
明日は起き上がれない気がする。

過去に数回経験したどの戦いよりも疲れた。
普通、司令部隊は前線に出ることは無い。
でも今回は夜牙さんが“熱く”なっちゃったから……気付けば俺も最前線にいたってわけ。

首にそっと手を当てる。
もう血は止まったけど、横に一筋切り傷があるのが分かる。
司令室で夜牙さんといた時に、ガーディアの副隊長が攻めてきてナイフを当てられてできた傷。
頸動脈がドクドクと脈打つ感覚に気分が悪くなり、首から手を離す。

＿＿こんにちは。邪魔しに来ました。死にたくなければ手を挙げて。武器があれば捨てろ。

丁寧だけど冷酷な台詞。
そう言ったあの子の殺気をはらんだ瞳が、脳にこびりついている。
レボディショナル(敵対組織)だというだけであんな目を向けられるとは知らなかった。
死の危険が身近に迫ったのは、今回が初めてだった。

「こんなことで、やってけるのかな……」

ぼそりと、不安がこぼれ出る。
箱庭にいるはずの“美少女"を探し出して、この世界から助け出す。
そんな事が自分にできるのだろうか。

マイナスな思考に再びため息を吐きながら、なんとなく部屋を見渡す。

「＿＿＿＿んっ！？」

あるものを見つけた俺は、ベッドから飛び起きて本棚へ走る。
本だなと言いつつあまり本の置かれていないそこに、見慣れない袋とカードが置いてあった。

袋を開ける。ついで、カードを裏返す。
予想は的中、颯が置いていったものだった。

美味しそうなクッキーと『危険な目に遭わせてごめん』という文字。
颯に謝られるいわれはないし、逆にクッキーくれてありがとうって感じなんだけど。

ていうか、颯来たのかよ！？
夜牙さんを殴ってせっかくシェルターに戻れたのに、まさかまた来るなんて……。
何だろう、新手の馬鹿かな？そうまでしてくれるのは嬉しいけどさ！

颯からのメッセージに昂ぶった心が落ち着いてくると、今度はとんと眠くなる。
ベッドに横になると、一日の疲れがあいまって意識がふっと沈んでいく。

今度、久しぶりに颯と話したいな＿＿＿

最後にそんな事を思って、俺は眠りについた。

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