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＿＿涼太
１軒目の居酒屋を終えて、２人で夜の道を歩く
もちろん２軒目いけますよね？
なんて、そりゃまだまだほろ酔いって感じだったし
次もあるよなぁとは考えていたけど
挑発じみた笑顔が少しだけ生意気だったから
誰と飲んでるか分かってんの？
って買い言葉を返してしまった
丁度よく行きつけのバーが近くにあったので
タクシーを使わず歩いていこうかとなった。
「まだちょっとだけ寒いっすね」
「ね、上着コート着てきて正解だった」
もう冬も終わりだけど
まだ鋭さの残る風が頬を掠める
首元の寒さを逃すように肩を持ち上げて
すっと息を吸い込んだ
あ、
冬の名残のような澄んだ空気の中に
木とか土とか、緑色の薫りが混ざってるような匂い
なんだろう
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ…
「なんか、春の匂いがしますね」
「ぇ…」
そう、春の匂い
これから育っていくであろう植物達の
命の匂い。
思わず目黒の顔を見やると
驚いた俺を不思議そうに見つめている
「ゃ、俺も少しだけ春の匂いするなって…」
「え…まじすか！」
「うん、だからびっくりした(笑)」
目黒は俺と同じように驚いた顔を見せたが、
それ以上になんだかとても嬉しそうだった
「なんか嬉しい、同じこと考えてて」
少しの間歩く足を止めて
はにかむような、嬉しさを噛み締めるような
そんな表情で俺に視線を合わせる彼
その頬は、アルコールのせいか
淡いピンク色に染まっているように見えた
「酔ってる…？ 少し赤いよ？」
「ん〜、
舘さんと二人で飲んで、楽しいからテンションあがってるんです…(笑)」
なんて…って
そう言い捨てて体を向き直すと
バーまでの道も分からないのに俺の少し前を歩き始めた
「……」
まだ立ち止まったままの俺は
その背中を視線だけで追いかける
少しだけ大きくなったような目黒の背中、
その背中が追いかけているのは…
その瞳は…その先には…
まだ俺が写っているのだろうか、
俺を追いかけているのだろうか、
「…舘さん…大丈夫ですか？」
「ぁ、ごめん(笑)」
ふと不安になるときがある
今の自分は、
目黒に憧れられる存在でいられているのだろうか…
もういいやと、
気持ちが離れていってしまうのではないか…
そんな思い上がった不安が頭を覆ってしまうときが。
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YOKO1220(プロフ) - 更新待ってました！！続きがとても気になります。 (2022年8月24日 20時) (
レス) @page12 id: 3f34e75752 (このIDを非表示/違反報告)
YOKO1220(プロフ) - 大好きなお話です。更新まってます！！ (2022年3月21日 1時) (レス) @page8 id: 3f34e75752 (このIDを非表示/違反報告)
ニナ(プロフ) - 更新待ってました！嬉しいです！！！ (2021年12月20日 17時) (レス) @page6 id: b294cacc31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無 | 作成日時：2021年10月13日 0時
