43 ページ44
you side
似顔絵に想いを馳せているところを
見られてしまった。
出茂「ごめん、
驚かすつもりはなかったんだけど」
『いっ、いいえ！
私こそ大きな声を出してごめんなさい』
なにせ、なにせ恥ずかしい。
しかも、しかも仕事中なのに。
出茂「……山田利吉は会いに来ないのか？」
『そうですね』
出茂「ふぅん……あんなに大切だと言う割に」
ふん、と鹿之介さんは笑った。
『それは違いますよ。鹿之介さん』
鹿之介さんは何が言いたいというのだろう。
以前も言ったけれど、
私はプロ忍として活躍する利吉さんを尊敬している。
それは、寂しさを上回るのだから。
『私にだって仕事があるし、頑張りたい。
そこはお互い自立、ですよ』
いつだって会えるなら、
もちろんそれは嬉しいこと。
離れる期間はもちろん寂しい。
だけどそれは他の人では埋められなくて。
お互いでしか、埋められない。
出茂「そしてこれを見て寂しさを紛らわす、と」
『想いを馳せるってかんじですね』
すると鹿之介さんは、膝立ちで私の傍へ寄り
出茂「鈍感だということがわかったから、
ちゃんと言う」
『はい？』
出茂「僕はAさんが好きだ。
山田利吉とは違って、いつだって傍にいられる」
そんなことを言ったのだ。
◆◇
出茂「……聞いてる？」
なかなか私がリアクションをしないから
鹿之介さんに顔を覗き込まれた。
『っはい！聞いてます！』
出茂「いつだって会える方が良いと思わない？」
似顔絵を眺めるより、と言いたいのだと思う。
『……そうですね、いつだって会えるなら……
それは素敵です』
出茂「そうだよね。
ふらりと自分勝手に来られるのは困るだろう」
そんな風に考えたことがなかったから驚いた。
いつだって会えるのを心待ちにして、
"自分勝手だな"なんて思ったこともない。
会えたときは勿論、恋焦がれる日々だって
愛しくて大切なのだから。
だけど何より、
『鹿之介さん』
出茂「え？」
『私には、利吉さんしかいないんです』
今までも、これからも。
それだけは、何があっても揺るがない、
紛れもない真実なのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 410人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
llmz(プロフ) - 初めましてこんばんは。目をギンギンにしながら楽しく読ませて貰いました。そしてもっと読みたいです！お忙しいと思いますがこれからも続いていくことを応援しています。いつか母上に紹介するお話も読んでみたいです笑更新楽しみにお待ちしています！ (2023年3月25日 1時) (
レス) @page41 id: ea241ee2a1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴすこ(プロフ) - はなさん» お返事ありがとうございます！！読めましたー！！はなさんの書く小説はどれも好きでほとんど読んじゃいました！これからも応援してます。頑張ってください！！ (2022年10月22日 7時) (レス) id: 8dcb23a883 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - ぴすこさん» 読んで頂きありがとうございます！早速ですが、こちらの設定はどうされているでしょうか？ご確認お願い致します！→→「マイページ」の「設定」から、下の方にいくと「コンテンツの設定」→ 「R18コンテンツフィルタ」があります。お手数ですが宜しくお願いします。 (2022年10月19日 21時) (レス) id: 1cb0e453a9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴすこ(プロフ) - はじめまして！コメント失礼します。よるのおあそびを読みたいのですが、検索しても作者の作品全表示を押しても出てきません。どうすれば読めますか？ (2022年10月19日 21時) (レス) id: 8dcb23a883 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - Moonさん» お返事遅くなりました！なんて嬉しいお言葉…！更新遅すぎてすみません😱どれだけ続けているのかというお話ですが、私にも終わりが見えません(笑)とにかく更新頑張ります！コメントありがとうございます！！ (2022年10月10日 23時) (レス) id: 1cb0e453a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はな
| 作成日時：2022年1月19日 0時
