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ゲンや大樹たちに背中を押されて、私と千空は二人きり、少し小高い岩山の上に来ていた。
本当は彼が科学王国のキャンプ地に戻って、千空のお父さんのレコードを聞かせてくれると言ったのだけれど、私がそれを断った。
今は思考整理する時間が欲しかったし、千空と二人きりなんてそうそうないから、少しお話がしたかったのだ。
宛もなく歩いてたどり着いた岩山になんとか登り、二人並んで広大な自然を見つめる。
灯りはないけれど、空に浮かぶ月や星の光で充分辺りを見渡すことが出来る。
春とはいえ少し肌寒い風を受けながら、長いこと降り立っていた沈黙を私はやっとの思いで破った。
「あの、千空…？」
無言で私に視線を流す彼。
いつか見た光景だけれど、あの月夜の晩よりも、今の私の心臓はうるさい。
ここまできてドッキリなんてこと、ないはず。
でも千空にとっての結婚は、あくまで目的達成の手段にもなりえる程度で、そこに愛だの恋だのがあるのかと問われると、まだ自信はない。
けれど、私の左手には、確かにガーネットが光っている。
呼んだはいいけれど、なかなか二の句を継がない私に呆れもせず、静かに待ってくれている彼。
私は左薬指のそれを右手で弄りながら、まずはとっかかりを得ようと思いついたことを口にした。
「ずっと気になっていたんだけれど、千空の胸のそれはやっぱりアインシュタインのなの？」
「あー、これか」
予想してなかった質問だったろうに、千空は驚きもせず自分の服の襟を引っ張った。
そう、それ。
起きた時から既に血文字で書かれていた、E=mc2。
「アインシュタインが唱えた、エネルギーの公式、だったよね」
詳しい仕組みは分からないけれど、エネルギーは無から生まれないという定説だ。
人間生きていく上で必ず食べ物が必要なように、その言葉は私でさえ理解出来る、科学の根幹。
千空はよく覚えてたな、とはにかんだ。
「石化復活液を生み出す最中、アホほど数重ねてもなっかなか解けなくてな」
「…」
「忘れねえようにメモした。そんときのだ」
懐かしむ彼が、隣にいるはずなのに遠く感じる。
そうだ、この戦争が起きたのも、そもそも私が今彼と話せているのも、全て彼が石化復活液を発明してくれたから。
千空が石化を解いた瞬間から、彼は教科書に載るような革命人になったんだ。
そんな彼の隣に私がいて、いいのかな。
いまいち千空が私を好きなのか、確証が得られないのは、彼がこんな私のどこを好きなのか分からないからだ。
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sora(プロフ) - キャンディさん» 書き込みありがとうございます。アニメとはまた少し違う解釈ですが、私なりにDr.STONEを描いているので面白いと言っていただけて嬉しいです。まだまだ長い物語ですので、気長に読んでいただけると幸いです。よろしくお願いします。 (11月2日 9時) (
レス) id: 90b12c249d (このIDを非表示/違反報告)
キャンディ(プロフ) - アニメ3期の後読みに来ました！面白いです！！面白すぎて一気読みしてしまった (10月28日 12時) (レス) @page26 id: 467824b5e4 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - バレーボールさん» 書き込みありがとうございます。お返事が遅くなり大変申し訳ありません。アニメより原作沿いで書いていましたので、少し噛み合わないところもあったかと思いますが、ここまで読んでいただきありがとうございます。アニメ3期の後にでも続きを読みに来てください。 (2022年6月1日 9時) (レス) id: a1dae06abc (このIDを非表示/違反報告)
バレーボール - アニメでストーリーを見るのと平行してここまで読ませて頂きました。原作のストーリーとキャラクターのイメージを壊さない物語構成と文才に感動しました。こんなに素晴らしい作品を読ませて頂けて光栄です。ありがとうございました。 (2022年3月30日 15時) (レス) @page8 id: d448fd1791 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - スズさん» 書き込みありがとうございます。徹夜は体に悪いので程々にされてくださいね。アインシュタインの手紙は、私も初めて知った時はっとしました。Dr.STONEの根幹にあるといいなと勝手に思っています。完結までもう少しありますので、最後まで読んでいただけると幸いです。 (2021年5月15日 10時) (レス) id: 245919ea47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年1月12日 14時
