空三十日目 ページ30
そこまで読み終えて、誤字脱字がなかったことにほっとしつつ手紙を封筒に戻した。
「よーし、じゃあ掃除からしようか!」
にごうさんが腕を捲る。
「じゃあわたし、水汲んでくるね」
そう言って、立ち上がり、水場へと向かった。
「あっつ…」
歩いているだけなのに、額からすーっと汗が流れ落ちる。
ふっと上を向くと、いつかの夏のように真っ青な空に、ソフトクリームのような入道雲が広がっていた。
わたしはもう、お姉さんが言っていたことの意味がわかるようになってしまった。
見えるものが全てとは言い切れない、と。そう言ったお姉さんは,どんな気持ちだったんだろうか。
わたしに見せてくれた綺麗な顔の裏に、どんな思いを抱えていたのだろうか。
今でも、思い出す。考えてしまう。
……それでも、今なら。
「……やっぱり空は、青いと思うなぁ」
何それ、って目を丸くして笑うお姉さんの顔が浮かんだ。
見えるものを信じてみたいと、そう思えたのも。
全部全部、お姉さんのおかげなんだよって。
今なら、そう言いたい。
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ねこる。 - えるさん» コメントありがとうございます!わたしの小説で心が透明になるだなんて嬉しい限りです…。もっと色々な表現ができるよう頑張ります! (2021年10月26日 7時) (レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - まめふなさん» ありがとうございます!レス遅れてすみません…。お話素敵って言ってもらえて嬉しいです!頑張ってラストまで書きます! (2021年10月26日 7時) (レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
える - なんか単純に綺麗って言葉が出てきました。空の美しい描写、主人公さんたちの感情表現の書き方が綺麗だと思いました。このお話を読んでる間は心が透明になってる感じでした。作者様の書き方尊敬致します。 (2021年10月17日 7時) (レス) @page27 id: cbb903ca6b (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - 丙ののののさん» コメントありがとうございます!空の描写はめちゃめちゃ時間かけたので、そう言ってもらえると嬉しいです…。今後も感激してもらえるよう頑張ります! (2021年8月16日 8時) (レス) id: 035a026afe (このIDを非表示/違反報告)
丙のののの(プロフ) - 1話目を読み終えたところなのですが…これは…空の描写が美しすぎますね…!くどくないのに美しい情景が伝わる描写…占ツクで初めて見つけました。感激! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 4482ed7f20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこる。 | 作成日時:2020年6月5日 8時