ズルくて甘い2人 ページ49
【Aside】
案の定、「帰るよ。」って佐野くんが席を立つ。
足に力が入らない。
というか、…動きたくない。
『…やだ。』
玲於「じゃあここにいて。
外でタクシーつかまえてくる。」
『待って。』
呼び止めて、出て行こうとする佐野くんの腕に必死にしがみついた。
驚いたような佐野くんの瞳と、
やっと目が合って
『…だめなの、佐野くんじゃなきゃ。』
もう、戻れないかもしれない。
それでも もう止まらなかった。
『…また、あたしを独りにするの？』
涙で視界が歪む。
あたしを見つめたままの佐野くんの表情が
どんどんぼやけて見えなくなる。
どうしよう。
言っちゃだめなのに。
亜嵐くんを大事にしたいのに。
『…離れたく、ない。』
涙と一緒に、溢れた本音。
押し殺してきた本当の気持ち。
なんてずるいんだろう。
きっといつかバチが当たる。
…でも、もう自分に嘘つけない。
佐野くんが、静かに手を振りほどいた。
ああ、やっぱり。
だめだった。嫌われた。
そうよぎった次の瞬間、
くいっと顎が持ち上げられた。
目の前には、あたしの顔をのぞきこむように同じ目線まで腰をかがめた佐野くんの顔。
さっきまでの冷えた瞳とは違って
切なそうにあたしを見つめてて
やっと、久しぶりに瞳が合った気がした。
玲於「…ねえ。やっぱそーなんじゃないの。」
『…え？』
玲於「それってやっぱり
俺のことすきなんじゃないの？」
前にも一度、言われた言葉。
あたしの言葉を待つ佐野くんの瞳は
いつもみたいに真っ直ぐで
だけど少し、
怯えてる子供みたいに揺れてて。
『…すき、かもしれない。』
ごめんね、佐野くん。
ごめんね。
きっとまた困らせる。
あたしには彼氏がいて。
佐野くんにもすきな子がいて。
こんな事言っても誰も幸せにならないのに。
ごめん、って言うとして
微かに動かした唇。
だけど、声が出る前に
あたたかい感触がそれを塞いだ。
玲於「…かも、じゃ
困るんだけど。」
少しだけ離された唇の隙間から聞こえる
佐野くんの低くて甘い声。
キスされたんだ、って気づいた。
玲於「ねえ。かも、なの？」
ああ、もう。ずるい。
『…すき。』
でもそう言って、
目をもう一度瞑るあたしは
もっとずるい。
ふわっと甘い香りがして
また唇に、あたたかい感触がした。
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りな(プロフ) - はじめまして！久々にすごく引き込まれるお話です！玲於くんと彼女さん、亜嵐くんがどんな答えを出すのかドキドキしてます。更新楽しみにしてます(^^) (2018年6月5日 2時) (
レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
くる(プロフ) - ぴなたまごさんこんにちは！久しぶりに更新されてほんとに嬉しいです（ ; ; ）ぴなたまごさんの作品全作読ませていただいているのですが玲於くんファンってこともあって全部好きです！！このお話も大好きなのでこれからも更新たのしみにしてます！頑張ってください！ (2018年6月3日 10時) (レス) id: b57c603971 (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - やっぱりすごいです、お話に引き込まれます。更新…！嬉しいです。また続きを楽しみに待たせていただきます！ (2018年6月1日 20時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)
reona(プロフ) - 更新されてないみたいですが、何かあったのでしょうか？更新楽しみにしてます！ (2017年11月13日 2時) (レス) id: a813d90c31 (このIDを非表示/違反報告)
ももぷりん(プロフ) - 会いに来てください〜！うぇるかむです！大好きですこのお話（ ; ; ）更新来るたび飛び跳ねてます！ぴなたまごさんのお話全作好きです、玲於くんと結ばれたらいいなあ、、 更新楽しみにしてます！がんばってください ！ (2017年8月26日 23時) (レス) id: b57c603971 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴなたまご | 作成日時：2017年8月19日 15時
