動揺 ページ29
【Aside】
はっとして
キーボードを叩く指を止めた。
…あれ。
あたし、なにしてたんだっけ。
『…サヨさん、
さっき指示されたのって見積書作成でした？』
サヨ「なに言ってるの。
今月検収分の算定でしょ？」
あ。そうだったっけ。
どうしたんだろう、あたし。
抜けてるのはいつものことなんだけど
…なんか、今日はすごく変。
サヨ「お昼から帰ってきてからおかしいわよ。
なにかあった？」
『…いえ。』
サヨ「そう？」
なら、いいけど。
ってサヨさんが自分のPC画面に視線を戻す。
なんか、今日はすごく変。
というか
動揺してる。
ーー「…そういやさ、
岩さんに聞いたんだけど
玲於って好きな人いるっぽいんだよね。」ーー
亜嵐くんが言ってた言葉が
ぐるぐると頭を離れない。
その話を思い出すたび
胸の奥がぎゅっと締め付けられて
呼吸が苦しくなる。
やだな。
あんまり考えたくないのに。
…考えたくない？
無意識にそう思っていた自分に気づいて、
キーボードを打つ手が止まる。
この気持ちには、覚えがある。
北海道旅行のときも。
佐野くんの後ろ姿を黙って見送ったあの日も。
サヨ「…Aちゃん、
ちょっと鏡見てきなさい。」
『え？』
サヨ「あなた今、自分でどんな顔してるかわかってないの？」
ううん
ほんとはもっとずっと前から気づいていた。
見ないふりをしていただけだ。
『…ひどい顔。』
化粧室の鏡に映った自分見て
自嘲まじりの、力のない笑みが溢れた。
情けなく下がった眉毛。
チークのせいじゃない、紅潮したほっぺた。
目なんか、うさぎみたいに真っ赤。
…あたし、こんな顔してたんだ。
佐野くんの存在が近くなりすぎて
見えなくなってただけ。
佐野くんがずっとそばにいてくれるような気がして
現実から目を逸らしていただけ。
佐野くんの優しさに甘えてたのは
あたしの方だ。
自分の中に芽生え始めてた
この後ろめたい気持ちに
亜嵐くんとの未来っていう
幸せという名の【蓋】をしてた。
…あたしは、ずるい。
.
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りな(プロフ) - はじめまして！久々にすごく引き込まれるお話です！玲於くんと彼女さん、亜嵐くんがどんな答えを出すのかドキドキしてます。更新楽しみにしてます(^^) (2018年6月5日 2時) (
レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
くる(プロフ) - ぴなたまごさんこんにちは！久しぶりに更新されてほんとに嬉しいです（ ; ; ）ぴなたまごさんの作品全作読ませていただいているのですが玲於くんファンってこともあって全部好きです！！このお話も大好きなのでこれからも更新たのしみにしてます！頑張ってください！ (2018年6月3日 10時) (レス) id: b57c603971 (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - やっぱりすごいです、お話に引き込まれます。更新…！嬉しいです。また続きを楽しみに待たせていただきます！ (2018年6月1日 20時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)
reona(プロフ) - 更新されてないみたいですが、何かあったのでしょうか？更新楽しみにしてます！ (2017年11月13日 2時) (レス) id: a813d90c31 (このIDを非表示/違反報告)
ももぷりん(プロフ) - 会いに来てください〜！うぇるかむです！大好きですこのお話（ ; ; ）更新来るたび飛び跳ねてます！ぴなたまごさんのお話全作好きです、玲於くんと結ばれたらいいなあ、、 更新楽しみにしてます！がんばってください ！ (2017年8月26日 23時) (レス) id: b57c603971 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴなたまご | 作成日時：2017年8月19日 15時
