届かない声 ページ26
【亜嵐side】
ーー「今、彼女いないんだっけ？」ーー
ーー「いない。作る気もない。」ーー
タクシーの窓から外を眺めながら
なんとなく思い出したのは
北海道での何気ないはずの会話。
俺って性格悪いのかな。
岩さんの言葉だって深い意味はないかもしんないし
仮に玲於に好きな人いたっておかしくねーのに。
ーー「わかんないじゃんそんなの。
もう学生じゃないんだから毎日会うわけでもないし、どこですれ違ったっておかしくねーじゃん。」ーー
あー…もう
臣さんがあんなこと言うから。
メイ「んー…。
あれ…亜嵐くん？」
隣でうずくまってたメイちゃんが虚ろな目できょろきょろする。
なんで亜嵐くん？あれ、玲於は？って
混乱してて
事情を話すと
渋い顔してごめんってバツが悪そうにしてる。
メイ「仕事で嫌なことあってさ。
飲みながら愚痴聞いてもらってたんだよね。」
亜嵐「で、玲於をつぶしたと(笑)」
メイ「だね(笑)
けどそんな飲ませてないよ？飲み始めたの遅かったし。」
亜嵐「ほんとかよ。こえーわねーさん。」
メイ「ほんとほんと。22時くらいからかな？
Aんちの近くで偶然会って。」
…え。
また、A？
メイ「なんか友達の家からの帰りだったみたい。」
へぇ、って相槌うつけど上手く笑えずに窓の外に顔を向けた。
…なんで
またAの名前が出んだよ。
一滴も酒は飲んでないはずなのに
胸の奥がもやもやしてくる。
メイちゃんを家の前で降ろすと
そのままタクシーで自分ちに向かう。
亜嵐「…窓、開けていいですか。」
「はい。クーラーの温度下げましょうか？」
亜嵐「いえ、風に当たりたいだけなんで。」
窓を開けると、
生温い風が車内に吹き込んできて
重たい空気は息がしづらくて
疲労感と不安を増加させていく。
…まじだっせー
今の俺。
学生のときもさ、
ライバルいっぱいいたけどさ
こんな弱気になったことなんかねーのに。
そんだけAの存在が
俺ん中ででかくなりすぎて
失うなんてこと考えたこともなくて。
考えたくもなくて。
タクシーが大通りに入って
遠くにAのマンションが小さく見えた。
亜嵐「…好きだよ。」
マンションに向かって小さく呟く。
その声は
窓から吹き込んでくる湿った風の中に
溶けていった。
.
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りな(プロフ) - はじめまして！久々にすごく引き込まれるお話です！玲於くんと彼女さん、亜嵐くんがどんな答えを出すのかドキドキしてます。更新楽しみにしてます(^^) (2018年6月5日 2時) (
レス) id: 12a3518566 (このIDを非表示/違反報告)
くる(プロフ) - ぴなたまごさんこんにちは！久しぶりに更新されてほんとに嬉しいです（ ; ; ）ぴなたまごさんの作品全作読ませていただいているのですが玲於くんファンってこともあって全部好きです！！このお話も大好きなのでこれからも更新たのしみにしてます！頑張ってください！ (2018年6月3日 10時) (レス) id: b57c603971 (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - やっぱりすごいです、お話に引き込まれます。更新…！嬉しいです。また続きを楽しみに待たせていただきます！ (2018年6月1日 20時) (レス) id: 3f78a71996 (このIDを非表示/違反報告)
reona(プロフ) - 更新されてないみたいですが、何かあったのでしょうか？更新楽しみにしてます！ (2017年11月13日 2時) (レス) id: a813d90c31 (このIDを非表示/違反報告)
ももぷりん(プロフ) - 会いに来てください〜！うぇるかむです！大好きですこのお話（ ; ; ）更新来るたび飛び跳ねてます！ぴなたまごさんのお話全作好きです、玲於くんと結ばれたらいいなあ、、 更新楽しみにしてます！がんばってください ！ (2017年8月26日 23時) (レス) id: b57c603971 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴなたまご | 作成日時：2017年8月19日 15時
