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「お目覚めですか、お姫様」
「……ふは、なにそれ…」
目を開けるなりキザな台詞を言い放った彼に、思わず吹き出してしまう。
バカじゃないのと一蹴すると、大して気にも留めない様子で左手を差し出してきた。いつもは馬鹿にするとムキになって言い返してくるのに、珍しい。
「お手をどーぞ」
「…はぁ?」
「朝食、できてるから」
早く食べよう
そう言った優しげな彼の瞳を、これでもかと凝視する。目が点になるとか、開いた口が塞がらないとはこういうことを言うのだろうか。
「なに呆けてんの」
「…いや、そっちこそどしたの」
今日の祐希は、おかしい。
あんな風に起こしてくれるとか、朝食作ってくれるとか、いつもならあり得ない。ここまで優しくされると、何かあるのではと勘繰ってしまう。
「昨日無理させちゃったからさ。
お詫び、かな」
へへ、と頭を掻きながら、照れ笑い。
無理させられたのは事実だけど、自分だって忙しいくせに。なんだかんだむかついても、こういうところがあるから許しちゃうんだよなぁ、いつも。
「わかってんなら無理させんな、あほ」
「はいはい、反省してますよ。だから、」
今日はとことん、優しくしてあげるね?
「………っ」
言いながら、額に小さく口づけられる。思わず彼を見上げると、見たこともないような優しい顔で髪を撫でられた。
「好きだよ、A」
…やっぱり、今日の彼はどこかおかしいみたいだ。
(…っなんか、気持ちわる…)
((うわ、失礼!これが俺のやさしさなのー))
(はいはいどーも、ってなにその手)
((抱っこ))
(は?)
((抱っこで連れてってあげる))
▽こんな風に起こされたい。(やかましい)
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ぷーこ(プロフ) - あきさん» すみません、もし教えていただけるようでしたらどの作品か教えていただけると幸いです。 (2016年8月9日 18時) (レス) id: 0bb9c9012b (このIDを非表示/違反報告)
ぷーこ(プロフ) - あきさん» わざわざ コメントありがとうございます。それはそちらの作品と私の作品どちらが先に書かれたものでしょうか?お手数をおかけしますが教えていただけると嬉しいです。すみません。 (2016年8月9日 18時) (レス) id: 0bb9c9012b (このIDを非表示/違反報告)
あき - はじめまして、コメント失礼します。とある作品を読んでいたところ、この作品のあるお話と酷似しているものを見つけまして、一応ご報告をと思いコメントさせて頂きました。 (2016年8月9日 8時) (レス) id: 7970285b3f (このIDを非表示/違反報告)
ぬんぬん♪ - えっ終わり!?嘘やろ!?!? (2016年6月11日 0時) (レス) id: f5deb9fb59 (このIDを非表示/違反報告)
藍 - 完結……したのですか? 楽しみに見させていただいてたので残念です…… (2016年5月22日 23時) (レス) id: 191aa71f46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷーこ | 作成日時:2016年1月5日 20時