◎ずっと ページ1
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「ん〜…A〜…」
「あれ、祐希どしたの」
練習から帰って来るなり、「疲れた」と言って寝室に直行した祐希。今日はよほど練習がハードだったのか、ここ2時間くらい、死んだように眠っていた。はず、なんだけど。
「目ぇ覚めた…」
ふらっとリビングに現れた祐希は、帰ってきた時と同じジャージ姿のまま。顔はまだ眠そうで、どうやら寝てスッキリしたわけではないらしい。
「まだ眠そうじゃん、もう少し寝てれば?」
「ん〜…でもなんか、隣にAいないとさみしくて…」
とかなんとか言いながら、ふらふらっと私のいるソファーに近づいてくる。
そのまま勢いよくソファーに座り込んだと思ったら、膝の上にこてん、と転がってきた。
「わっ、どしたの…」
「ひざ、貸して……」
突然のことに、少し驚く。
だけど、すりすりと頭を寄せてきた祐希が可愛くて、すぐに顔が綻んだ。
「ゆうき、くすぐったいよー」
色素の薄い、ふわふわの髪がくすぐったくて、思わず身を捩る。抗議の意味も込めて髪を撫でると、彼は気持ちよさそうに目を細めた。
…なんか、犬みたい。
「…きもちい、もっと」
「ふふ、今日は甘えん坊さんだね?」
たまに、こういう時がある。
練習とか試合とかで疲れたとき、稀に。
でもそういえば、こんな風に膝枕してあげるのなんて久しぶりかもしれない。
よし、今日はとことん甘やかしてやろう。
そんなことを考えていると、今までだらんとしていた祐希の手がゆらゆらと宙を舞う。それはどうやら私の手を探していたようで、見つけた途端にぎゅっと掴まれた。
「…やっぱり、Aがいると安心する…」
「…そ?」
「うん。ずっと、傍、いて…」
とろん、とした目で、掴んだ手に軽いキス。満足げにへらりと笑ってから、ゆっくりと睫毛が伏せられた。
「大丈夫、ずーっと傍にいるよ」
もう、聞こえてないかな?
幸せそうに眠りについた彼にそう言いながら、頬に小さく口づけを落とした。
((…まだ、寝てない……))
(あれ、起きてたの?)
((夜、になったら、…いっぱい、可愛がってあげるから、それまで待って…………ぐぅ。))
(……あ、寝た。)
▽甘えた祐希くんを書きたかった。
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ぷーこ(プロフ) - あきさん» すみません、もし教えていただけるようでしたらどの作品か教えていただけると幸いです。 (2016年8月9日 18時) (レス) id: 0bb9c9012b (このIDを非表示/違反報告)
ぷーこ(プロフ) - あきさん» わざわざ コメントありがとうございます。それはそちらの作品と私の作品どちらが先に書かれたものでしょうか?お手数をおかけしますが教えていただけると嬉しいです。すみません。 (2016年8月9日 18時) (レス) id: 0bb9c9012b (このIDを非表示/違反報告)
あき - はじめまして、コメント失礼します。とある作品を読んでいたところ、この作品のあるお話と酷似しているものを見つけまして、一応ご報告をと思いコメントさせて頂きました。 (2016年8月9日 8時) (レス) id: 7970285b3f (このIDを非表示/違反報告)
ぬんぬん♪ - えっ終わり!?嘘やろ!?!? (2016年6月11日 0時) (レス) id: f5deb9fb59 (このIDを非表示/違反報告)
藍 - 完結……したのですか? 楽しみに見させていただいてたので残念です…… (2016年5月22日 23時) (レス) id: 191aa71f46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷーこ | 作成日時:2016年1月5日 20時