color〜いろとりどり 2

story-72.増田side ページ24

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増田side


今日こそは絶対に自分が払う。歳上の役目を果たす。と言ってきかないAちゃんに今日のお会計は任せることにした。


ホッとしたようにレジへと向かうAちゃんは、今日もおれがあげたコートを着ていた。

足元は黒いショートブーツ
ひざ下丈の柔らかい生地のブラウンのチェックのワンピース
俺の持っている服にはない素材との組み合わせで、すごく新鮮だった。


増田「それ、ワンピース？だよね？それにコート合わせてるんだ。」


おつりを財布にしまうAちゃんに声をかける。


A「あー、うん。セットアップだよ。
同期と打合せで社外の人と会うかもって念のために。
……それにこのコートってやっぱ変…かな⁇」


バッグを肩にかけながら不安そうに俺の様子を伺うように見上げる。


増田「ううん！スカートとそいつの組合せが新鮮すぎて、アリだなぁって。やっぱAちゃんにあげて良かったよ。そいつもコートとしてうまれてきて良かったってきっと思ってるよ。」



A「コートの気持ち(笑)…ありがとう。」


また口元をかくしながらくすぐったそうにふふふ、と笑うAちゃんに、ぽかぽかした気持ちになった。



A「まっすー、また歩いて戻るの？」


増田「あ、いや。タクシーで戻るよ。」


いまはすぐに戻って作業したい気分。そう言いながらタクシーをつかまえるために大通りを見渡した。




A「……、ねぇ。まっすー」



ぽつりと遠慮がちな声が左隣から聞こえた。

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