color～いろとりどり (ページ9)

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story-8.＊ページ9

……………

「はーい！では今日はこれでおわりまーす！
今日もご参加ありがとうございましたー」

「「「おつかれさまでしたー」」」

17時になり、個サルが終わった。

顔なじみになっているわたしとなっちゃんは
ボールやタイマーを運ぶのを手伝い、
コートの外でスタッフさんたちと話していた

「あれだけボール蹴ったのにまだフットサルの話してるよ。"男子"だねぇ」

そうなっちゃんが言った先には

あのパスよかったねー
いやいやあのポストだろ
あそこの足裏もよかったよ

コートの中で、フットサル談義に花を咲かせている数名

ーーーまるでみんな部活生みたいだなー

彼らをぼんやりながめてると

「あっ！やばい！おれ、この後仕事なの。帰んなきゃ！」

そう言って、
慌ててシューズを脱いだかと思うと、
サンダルに履き替え、タオルやペットボトルを押し込んだバッグを背負い、
脱いだシューズを手に持った"手越くん"が、
ぱたぱたと走ってきた

「お疲れ様でした」

「おつかれー！ありがとう！

、
、
、

なんか、騒がせちゃってごめんね？」

申し訳なさそうに少し首をかしげて
スタッフに話かける声は、
今日の最初に出会ったときのような控えめな声だった

「いえいえ。
他にも芸能人の方も来てくださってるんですよー。
でも、皆さんSNSとかあげちゃったりしないし、
わきまえてくれる方たちばっかりなんで。
また参加して下さい。」

「みんないい人っぽいもんねっ。おけ、ありがとうー！」

そう言って2、3歩進んだところで
くるりと振り返り

にかっ

という表現がもっとも似合う表情で、
シューズを持った手をぶんぶんと振り回しながら

「みんなーばいばーい！！」

と叫び、
またくるりと振り返り、
駐車場へと走っていった

「…なんか台風みたいなひとだったね」

『…そうだね。』

顔だけ寒がりじゃなかったね
でも手越ってサッカー部だよ
じゃあそれはあたってたんだ

また、2人だけで聞こえる声でくすくすと笑った。