color～いろとりどり (ページ44)

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story-43.＊ページ44

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増田ちょっと電話していい?
Aうん。大丈夫だよ

するとすぐに着信音がなった。

通話ボタンをおして、耳にあてる。

増田『急にごめんね。いまなにしてた？』

A「あ、ちょっと…お買い物？」

増田『そうなんだ…』

A「うん。電話、どうしたの？」

…なんか、まっすー、少しだけ。いつもと声がちがうような気がする。風邪かな？寝起きかな？

そんなことをぼんやり考えながら、スマホの向こうから聞こえる声に耳を傾ける。

増田『…うーん。あのさ、ギックリ腰ってどうやったら治る？』

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増田『……あ…ごめん。』

A「えっ」

増田『や、ごめん。驚かせちゃったかとおもって。』

A「あ、うん。……大丈夫？なにしたの？」

増田『くしゃみしたらなった。(笑)うーん…大丈夫じゃ、ないかなぁ。』

A「……ギックリ腰はあっためたらダメだよ。あとね、腰はダメだけど周りの筋肉をほぐした方がよくって…あとは…あとは…」

イヤな感情が邪魔して、学生の時の記憶を思い起こすのに時間がかかっていると、まっすーの少し掠れた声がまた聞こえた。

増田『あ、ねぇ、今百貨店の前にいる？』

A「え。うん…どうしてわかったの？」

増田『ほら、その時計の音。』

ちょうど12時を指したからくり時計が、メロディを奏でていた。

増田『俺んちのちかくなんだよね』

A「そうなんだぁ。」

くるくると回る人形が整列してぱたりと時計の中に戻っていく姿を見上げながら、ぼんやりと答えた。

増田『………あー…。ねぇ、いまからすごいこと言っていい？』

A「え。」

増田『湿布も無い上に、食料が無い。いまお昼。朝から食べてない。ほんと、ごめん。超緊急事態。買い出しお願い出来ませんでしょうか…。』

ほんとに全く想像もしていない"すごいこと"だった。

でも……お願いされると弱いんだよなぁ……。

まっすーが、あたしを必要としてくれるなら…。

A「………あたしでいいなら…いいよ。」

増田『まじで！よかったぁ。助かる。ありがとう。あとで場所送る。』

電話が切れた後もしばらく混乱し、受話器から聞こえる機械音を聞いていた。

あ。

どうしよ。コート…