story-36.*増田side ページ37
******
増田side
A「あーっ!」
スマホの上を行き来していた指を止めた彼女がこちらに画面を向ける
A「これっ、まっすーだったんだぁ!」
その画面には、私服の連載をさせてもらっている雑誌で、いつか掲載されたコートを着た俺の写真が載っていた。
A「この雑誌見たときね、このコートめっちゃかわいいなって思って、写真撮って、いろいろね、探したんだけど、昔のやつだったから、もう売ってなかったの。ほんと、いろいろ探して、古着とかも無くて、諦めちゃったんだよね〜。
あー、このコートめっちゃかわいいよねっ。」
よほど興奮してるのか、話す声に全部スタッカートがついている。
自分が大切にしたものを褒められるのは気分がいい。
増田「ん。俺もちょーおきにいり。」
そう言ってにっと満面の笑みで返すと、つられたように彼女の頬がふにゃっとゆるむ。
A「そっかぁ、これまっすーだったんだぁ。」
スマホを見ながらつぶやく顔が、子どもみたいだった。
増田「…そのコート、あげようか?」
A「えっ。え、いや、そーいう意味で言ったんじゃないんだけど…」
増田「ふふふ。いいよ。めちゃさがしてたんでしょ。俺いまほとんど着てないから。」
A「……ほんとにいいの…⁇」
増田「うん。ただ、おれ、あげるって言ってから遅いって定評あるけどね。(笑)」
A「あはは。気長に待ってるー(笑)」
何となく、もっともっと喜んでほしいなって、笑顔になってほしいなって思ったんだ。
story-37.*増田side→←story-35.*増田side
70人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:prco | 作成日時:2018年2月7日 23時