story-16.*増田side ページ17
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増田side
コートの向こう側からこっちに向かってドリブルして来た手越。
ゴール付近まで来て、俺の目の前で、急に視界から消えた。
明らかにファウル。
ーーーてゆーか意図的に蹴っただろあいつ。
うずくまって動かない手越をみんながハラハラした表情で取り囲む。
そのうち背の高い男の人が、 手越にファウルした若いチームに詰め寄りだす。
手越に集中していた意識がそっちに散ったのを見計らって、手越に声をかけようとコートの中に入る。
すると、スライディングでもする勢いで女の子が走って来た。
彼女が声をかけると手越が起き上がる。
痛みを堪えるように眉間にシワをよせながら顔をあげた手越と目が合う。
「あ。」と声をだして、これ以上にないくらいバツの悪そうな顔をした。
ーーーてゆーか、今ごろ気づいたんかい。
お小言を言おうとすると、スライディング女子に氷を取って来てほしいと遮られる。
手越は、大丈夫だとアピールしているが、スライディング女子は俺をじっと見つめ、もう一度、氷を取って来てくれと言う。
…まあ、言ってることは間違ってないし?
「わかった」とその指示に従った。
小走りでフロントにむかい、カウンターの奥に向かって声をかける。
増田「すいませーん。氷もらっていいですか⁇」
スタッフ「はーい。どうされました?ケガですか?」
奥から出てきた男のスタッフから、氷が入ったビニール袋を手渡される。
増田「あー、まあ大したことないです。」
スタッフ「あ、あの。まっすーですよね?握手してください。」
増田「あ、はい。まっすーです。ぜひぜひ。」
左手に氷の入った袋を持ち、にこっと笑って右手で握手に応じる。
今日、初めてアイドル増田貴久を認識されてた気がするなぁ。
そういえば、あの子、俺のことめっちゃ見てたけど、気づいてないのかな?
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作者名:prco | 作成日時:2018年2月7日 23時