story-15.＊ ページ16
……………
『手越くん！！！！！』
右足の足首付近を押さえてうずくまる彼から1番遠くにいたわたしは一足遅れて駆け寄る。
「いまのはやりすぎだろ！」
「さっきから気になってたんだけどさー」
一部の人たちが、若い子たちのチームを取り囲んで、みんながピリピリしている。
➖➖お前の所為
『手越くん…』
➖➖お前の所為やで
『…』
「いたー…
いやー、びびった！」
彼は、両手をついて上体を起こし、両足を投げ出して座る。
「あ。まっすー…。」
いつの間にかコートに入って来ていた私服にマスク姿の人を見上げて苦笑いをした。
「てごし、おま
『あのっ！
フロント行って氷取ってきてもらっていいですか？』
私服にマスク姿の人が何かを話しかけたけど、さえぎるように言った。
ーーーいま、優先すべきは冷やすこと。
「え、いや、大丈夫大丈夫！」
手越くんは驚いた表情で顔の前で手を振る。
『だめ！動かないで！とりあえず冷やそ！
氷！お願いしていいですか？』
もう一度、少し強めにお願いする。
「…わかった」
頷いてフロントに向かったことを確認し、手越くんに向き直る。
『靴、脱いで』
「大丈夫大丈夫！ほんとほんと！」
手をついて立ち上がろうとする彼を制する
『だめ！』
「だーいじょうぶだって！！ほんとに！」
『ダメだって！』
「もー、
『もー！おすわり！！』
冷静に。
的確に。
そう思ってたけど、
思わず口から出た家の犬でも叱るような言いぐさになっている事にも、
目の前のけが人と氷を取りに行った2人が
目を丸くしてポカンとしてわたしを見ていることにも気付かないほど必死になっていた。
、
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作者名：prco | 作成日時：2018年2月7日 23時
