エイリアンズ3 _jump×jump

不可逆　_ybhk ページ10

Your Songショートフィルムパロ.
あの日より少し前の設定.



_side hk



薮は浪費家だ。

昼休みは毎日どっかに食いに出かけてるらしいし、
仕事帰りの一杯も欠かさない。

だから自炊なんてしないし、
コンビニでビニール傘もすぐ買う。



対する俺は倹約家だ。

安いスーパーも熟知してるし、
何年も前に買ったTシャツは未だに愛用してる。


昨日ついに、
その浪費癖なんとかなんねーのか、と訊いてしまった。
別に責めるつもりはなかったのに、
なんか責めたよーな
口ぶりになってしまってちょっと反省。

そしたら、貯めてもしょーがねーから、って
ヘラヘラ笑ってた。
そんで、ひかるは何でそんなに貯めてんの、と。

そんなこと薮には言えないから、
色々あんだろ、なんて適当に返したら、
そっか色々かあ〜ってまたヘラヘラ笑ってた。

その後すぐ、
あ、今の結婚考えてるみたいに聞こえたかな、
違うのにな、そんな人居ないのにな、
勘違いされたくないな、
…いや、薮にはどーでもいーか、と泣きたくなった。


薮と俺は何でもない。
ただの幼馴染だ。
でも俺はいつか薮と一緒に
暮らす日が来たときのために貯金してる。


このことは大ちゃんしか知らない。
俺の途方も無い恋を知ってるから
と、気が緩んでたのか、
泥酔するまでふたりで飲み明かした夜、
どうやら俺はペロってしまってたらしい。

いつも記憶飛ばしてるくせに
それだけはしっかり覚えてて、
『良いと思うんだけど
　あんまヒトに言わない方が良いよ…』
なんて翌朝申し訳なさそうに言ってくるから、
いや言わねーよって思ったし、
あやっぱ俺やべーんだなとも思った。

でもほっといて欲しい。
楽しいし、金は貯まるし、一石二鳥じゃん。
妄想する分には誰にも何にも迷惑は掛けてない。



…

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