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大好きだよ、愛してる、って、
ちゃんと伝えると
毎度いのちゃん喜ぶから。

嬉しそうにヘラヘラ笑って、
それから甘えるように抱き着いてくる。


いのちゃん、普段指先とか足先は冷たいんだけど、
抱き締めるとあったかいんだ。
勝手に体温低いと思ってたから、最初は驚いた。

だって、抱き締めたことなんてそれまで…





いや何言ってんだ?

俺、いのちゃんに好きだなんて言えるはずがない。



大事なメンバーで、仕事があって、
何より同性相手にそんなこと言えるはずがないと。
もし嫌な思いをさせたらと思うと怖くて、
ずっと我慢してきたじゃないか。






ああ…たぶん…。



ここは、俺の、ゆめのなか…。






「ねーひかるホントどーしたの?大丈夫?
 なんかあった?」


心配そうに覗き込んでくるいのちゃん。
夢に棲むいのちゃんはころころ表情が変わる。


「ごめんごめん、ちょっとぼーっとしてた」

「きっとお腹すいてんだよー。
 ほれ、ひかるも食べな」


ころん、と手のひらに転がる注射器。
食べるって言い方やっぱ違和感あるなあ…。
でも左手に持ってみると、すんなり。
俺はこれの使い方を知っている。


「前みたいに戻ったら何食べたい?」

「んーそーだなー…」


またさっきみたいに膝の上でごろごろしながら、
やっぱお米かなあ〜とのんきな声を出す。


「ひかるは何食べたい?」

「俺?俺はねえ…うーん…」


文字通りの最後の晩餐。
いざ訊かれるとなかなか思い浮かばないもんだ。

そういえば今日ロケで食べて美味しかったから、
水炊き、と答えた。

そしたら、じゃあさっきの答えは?って、
腰に抱き着いて甘えながらまた訊いてくる。


「さっきの答え?」

「もーだから最後の日。何すんの?」

「えーっとねえ…。うーん…。
 いのちゃんは?いのちゃんは何すんの?」

「俺ぇ?俺はねえ、」


うーんと伸びをしたと思ったら、
そのまま膝からごろごろ転がり落ちた。

カーペットの上でぐでん、としながら、
こっちを見て笑う。





「ひかると一緒に居る。それだけ。
 別に何にもしなくていいから、ゆっくりしたい」





目を閉じて笑う顔がとても穏やかで。

現実のいのちゃんはこんな穏やかな笑顔を
浮かべられてるんだろうか、とふと心配になった。



 

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作者名:ponpoco | 作成日時:2021年3月22日 23時

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