エイリアンズ3 _jump×jump (ページ27)

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長い睫毛が頬に影を落とす。

そこには知らない男の影と、
山田の想い。

「ふふ、俺にしとけばいーのにね」

ゆっくり見上げた瞳が、照明につやつやと光る。

目の前に居るのはどっからどう見ても美少女なのに、
その目は確かに恋をしている
どうしようもない男の目で、困ってしまった。

それは山田の目であり、
恐らく俺がひかるを見つめる目でもあるからだ。

「薮ちゃんは？
　なんでオンナノコしてんの？」

「………お前と似たよーなもんかな」

「そっか」

パクリ。

山田はケーキのてっぺんに乗った
イチゴと一緒に飲み込んで、
それ以上俺のことは訊いてこなかった。

代わりに、と言わんばかりに、ひかるの名前を出す。

「光くん…俺たちみたいにウィッグ着けないでしょ？
　あ、ウィッグってカツラのことね」

「それはもう覚えたぞ」

「へへ、で…ああそう、ウィッグ。
　俺いっぱい持ってっから、
　貸したげるって言ってんのにさ、頑なに断るんだよ」

「…？」

急に何の話だ？

フォークに刺さった次のいちごを
愛おしそうに見つめながら、
山田はこれまた愛おしそうな声を出した。

「俺たちは別の何かになりたくてやってる訳だけど、
　光くんは違うんだろうなって…」

…ああ。その話なら。

ひかるが週末にこっそりオンナノコに変身してると
知ったときから、ひっそりと、
そして大切に俺の頭の中で組み立ててきた話。

ひかるはオンナノコになりたいんじゃなく、
オンナノコのように可愛くなりたいのだ。

その理由はまだ分からないけど、
まあそれは追々知っていければ良い。

きっと、山田も似たようなことを言いたいんだろう。

だって可愛いものを愛でるような声で話すから。

なかなか口に運ばないいちご。
腕を取って、パクリと食べてやった。

こっちはこっちで頑張るから、
そっちはよろしくやってな、と。

ニヤリと笑って見せたら、山田はまた苦笑して、
でもさっきよりずっと楽しそうに、ケラケラ笑った。

「なになに、何のハナシ？」

「あ、いのちゃんおそーい！」

「おかえり」

いや〜またイケメンに声掛けられちゃってさあ、と
ゲラゲラ笑う趣味の悪い伊野尾に、

「俺にしなって言ってんじゃん」

と、山田が何でもなさそうに言い放った。
一瞬きょとん、としたのも束の間、

「やまだはチビだからなあ〜」

俺がいない間に恋バナしてたんだあ〜、と
ニヤニヤ目線を寄越してくる。