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肩を揺らしながら
変な笑い方で笑い続ける伊野尾は、
あの場が初対面なんてことはない、
同じ学部の同級生だ。

いつから始めたの、なんて訊いてくるから、
コトの顛末をお伝えした。
そしたらもっと爆笑して涙を拭う。


「…そういうお前はどーなんだよ」

「え?俺ぇ?俺はねぇ〜、」


話を要約すると、
伊野尾はあのやまだって子と元々友達で、
おふざけ半分で女装してみたら
死ぬほど可愛くなってしまって以来、
ふたりで街を歩くのが楽しくなってしまったらしい。


「馬鹿な男どもが声掛けてくんのが面白くてさ。
 もうやめらんねーの」

「………」


元々口は悪い方だと思っていたけど、
これには流石に閉口した。
おめーも男だろ。


「はあ…。あいつらもそーなの?」


前にひかるは、伊野尾に誘われて
件の"週末の遊び"を始めたと言っていた。


「いや、やまだは俺に付き合わされてるだけ。
 ひかるはもっと違うよ」

「違うって?」


含みを持たせた言い方に思わず訊き返すと、
ん?と目を細めてニヤつく。


「…やっぱ待った、良い。ひかるの口から聞くよ」


どんな理由であれ、
他人から訊く話でも無い気がする。
そう遮ると、伊野尾は満足そうに頷いた。


「良いね。こういうとこだね」

「ん?」

「何でもなーい。
 ところでさ、今週も空いてる?」


やまだが苺好きでさ〜、と続ける
伊野尾の横顔を見ながら、
まあ確かに可愛い、と何だか悔しくなった。







「皆さんお集まりいただきありがとうございます!!
 今日は念願の!!いちごフェアに行きます!!」

「良かったねえ〜」


パチパチパチ。
俺たちの一歩前を行く山田は今日のために買ったという
いちご柄のスカートを揺らし、いつになく上機嫌だ。


「俺、このために昨日の夜から抜いてきたんだあ」

「あははガチじゃん。がんばれ〜元取るんだぞ〜」

「女子かよ…」

「やぶ、今僕たちは女子なんだよ!」


ぷりぷり怒るひかるに、わりーわりーと謝る。
怒った顔も可愛い、と横を向いていたら、
立ち止まった山田に気付かずぶつかってしまった。


「…なんだよ」


ニヤニヤ見上げてくる美少女。
手を口の横にちょこんとあてて、
とっておきのヒミツを教えてくれるらしい。


「今日はブラとパンツもいちご柄だよ♡」

「え、何それかわい…」


思わず漏らしてしまった声に、
ひかるが隣で、へ?!と詰め寄る。

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作者名:ponpoco | 作成日時:2021年3月22日 23時

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