凍える部屋で ページ5
「海...ですか？」
アイツの怒りを示す低い声
「うん...」
「そんな話聞いてません」
そりゃ、そうでしょ
今初めて話したんだから
なんて間違っても言える訳もなく
「ごめんね...」
とりあえず謝った
「ダメです...」
「えっ？」
「海になんか行ったらダメです！」
もしやあのセリフ...
「水着で歩くなんて下着で外をウロウロしてるようなものです。Aさんが...考えただけでもゾッとします」
はい、出ました！
「だけどもう車も出すことになってるから
今さら断れないよ...」
アイツは眉毛を下げて切ない顔をすると
「どうしても行くんですか？」
うるうるした瞳で訴えてきた
うっ...
そんな目をされたら...
だけど今さら断るなんて無理
「うん、ごめんね...？」
それで拗ねたアイツが
「もういいです！
今日はこっちの部屋で寝ますからっ！」
ゲストルームに籠ってしまい
今に至る・・・
「はぁ...」
とりあえず中に入るか
コンコン...
「入るよ...」
一応ドアをノックし中に入ると
寒っ...
恐ろしい程冷房の効いた部屋で
ベッドの上で、布団にすっぽり隠れて
丸くなっているアイツがいた
「ねぇチャンミン...」
近付いて声を掛けるなり
ビクッ！と小さく揺れる布団の塊
「明日行ってきてもいいかな？」
「・・・・」
やっぱりダメか
どうしよう...
...あ、そうだ！
「じゃあ、チャンミンも
明日同期を誘って海に行けばいいじゃん！」
「・・・・」
「向こうで合流して皆で一緒に楽しもうよ」
「...こんな時間に誘っても誰も来ません」
お、これはイケるか？
「わかんないよ？一応声掛けてみたら？」
私は急いでケータイを持ってきて
「はい、ケータイ」
布団の中のアイツに声を掛けた
それをアイツは布団から手だけ出し受け取ると
サッ！と勢いよく引っ込め
「あ、もしもし・・・」
布団の中で連絡を取り始めた
それにしても寒い部屋
風邪引きそう...
結果、何人か集まったみたいで
アイツも海に行く事になった
それでも布団から出てこないアイツに
「ねぇ、チャン・・・」
仕方なく声を掛けた瞬間
布団から伸びてきたアイツの腕に
グイッ...！と引っ張られ
あっという間に布団の中に引きずり込まれた
その後は、凍える程寒かった部屋を
気持ちよく感じるくらい
アイツと二人、幸せな夜を過ごした
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作者名：ami
| 作成日時：2013年7月19日 13時
