浮かんでくるのは ページ20
「気にしない、気にしない...」
何度呪文のようにそう唱えただろう
今日は一日
フロントサービス課のバックルームでも
アイツと三崎さんの話題でもちきりだった
アイツの事は
もう完全にふっきれた様子の愛ちゃんも
午前の部を見てから出勤したらしく
「すっごく素敵な結婚式でした！
シム君もすごく格好よくて、特に三崎さんを見つめる眼差しがよかったなぁ...。
あ〜憧れちゃうな、あんな結婚式...」
なんて、ため息まじりに呟いていた
おまけに市川が
アイツの「僕の理想」発言をバラしたものだから
皆かなり盛り上がっちゃって
三崎さんもアイツを狙ってるって
噂があるみたいだし...
二人が「今話題のカップル」になる日も
近いと思われる...
「ただいま...」
重い足取りで家に帰り
玄関のドアを開けるとすぐに
「おかえりなさい(笑)」
アイツが嬉しそうに玄関まで迎えに来た
「ただい・・・」
"誓いのキスの後
二人で笑顔で見つめ合っちゃってさ〜"
"三崎さんを見つめる眼差しがよかったなぁ"
"お客さんの中には、あの二人本当に結婚するの？なんて言ってる人もいたよね"
蘇る言葉達...
アイツの顔を真っ直ぐ見る事ができなかった
「...Aさん？」
「あっ...ただいま」
「おかえり(笑)」
「汗かいちゃったからすぐお風呂入るね...」
それだけ言って
逃げるようにバスルームに向かった
ゆっくりお風呂に浸かって
気持ちを切り替えようと思った
ぬるめのお湯に浸かって
「あ〜気持ちいい...」
・・・それなのに、浮かんでくるのは
「素敵な結婚式、お似合いの二人かぁ...」
二人はどんな風に
見つめ合っていたんだろう
お客さんにも勘違いされる程だから
愛しそうにお互いを見ていたのかな
「はぁ...」
愛しそうに見つめる目
アイツの...
そうそう、こんな目だよね・・・って
え？何でアイツの顔が目の前に！？
「やっと気付きましたか？」
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作者名：ami
| 作成日時：2013年7月19日 13時
