お似合いの二人 ページ12
すっかり脅かす気も失せて
普通に話し掛けようとしたら
「てゆーか、あの人
うちのホテルの三崎さんじゃない？」
アイツが理想だと言った黒いビキニの女性を
市川が指差した
え？三崎...さん？
「おい、ちょっと話し掛けに行こうぜ」
市川が立ち上がり
すぐ後ろにいる私に気が付いた
「うわっ！ビックリした」
ちょっと何その反応...失礼じゃない？
「お前、いつからそこにいたんだよ！」
市川の声に振り返ったアイツも
目を丸くして驚いている
その反応に少しだけイラついて
「かなり前からここにいたけど？」
アイツをチラッと見て
少しだけぶっきらぼうに返事をした
「...ねぇ、もしかしてシム君？」
するとそこへ三崎さんが声を掛けてきた
近くで見てもやっぱりスタイルが良くて
真っ白な肌に黒いシンプルな水着が
とてもよく似合っていた
「こんにちは三崎さん」
「やっぱり！こんにちは(笑)
この間はお疲れ様。...あ、何度も言うけどあの日はシム君のおかげであまり緊張せずにできたのよ。ありがとね(笑)」
「いいえ。
こちらこそご一緒できてよかったです(笑)」
笑顔で話す二人はとてもお似合いで
市川も同じ事を感じているのか
私と同じように黙ってしまっていた
その時ふと
「あの二人何だかお似合いじゃない？」
経理の女子社員もそう言っていた事を思い出した
お似合いか...
勝手に落ち込んで暗くなる私とは対照的に
「じゃあシム君、またホテルでね(笑)」
明るい笑顔でそう告げる三崎さん
その笑顔は女の私から見てもとても綺麗で
私と市川にも軽く会釈をして歩き出すと
「痛っ・・・」
すぐに立ち止まってしまった
あっ、ケガしちゃったのかな？
スッ...
私が駆け寄るよりも先に
行動に移したアイツ
そんなアイツの様子に
私はその場から動けなくなった
三崎さんの後ろ、足元に跪き
掴んだ足の裏を見てあげているアイツの背中
三崎さんもアイツの肩に片手を置いて
見たくない光景なのに目が離せなかった
「ちょっと足の裏を切ってるみたいなんで
医務室まで連れていきます」
そう言うとアイツは
三崎さんを支えて医務室の方へ歩き出した
「何だかお似合いの二人だな...」
寄り添う二人の後ろ姿を見て
市川がボソッと呟いた
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作者名：ami
| 作成日時：2013年7月19日 13時
