やっぱり人気者のシム君 ページ1
7月も半ばを過ぎて毎日暑い日が続いている
「お昼頂いて来ま〜す」
「いってらっしゃい」
先輩社員のみほさんに見送られ
地下にある社食へ向かった
休憩時間が20分しかないので
黙々とアジフライ定食を頬張っていると
「明日のブライダルフェアは
ファッションショーやるんだよね」
「そうですよ、同期が出るって言ってました」
後ろに座る経理の女子社員の会話が
耳に飛び込んできた
「そういえば例の新入社員、シム君も出るんだよね」
例の...？
まだそう言われてるんだ
「そうそう、彼元モデルだから
きっとすごい目立つんじゃない？」
「彼格好いいもんね。
この間すれ違った時、おはようございますって挨拶されてドキドキしちゃった」
え...？
「わかるわかる〜(笑)
あんだけ格好よかったらそうなるよね」
「彼の事狙ってる人もいるらしいですよ」
...そうなの？
「やっぱりね...でもさ、いくら格好いいとは言え花嫁より目立ったらファッションショーの意味ないよね」
「確かに...」
「ね〜、あっ、そろそろ時間だ」
そう言って彼女達は社食を出ていった
知らなかった...
アイツにこんな人気があるなんて
アイツが格好いいと褒められるのは嬉しいけど
正直言って少し複雑
しかも狙ってるって...
明日のファッションショー
彼女達は見に行くのかな？
私は休みだから見に行く予定なんだけど
アイツが出演するファッションショーは
毎年この時期に行われる
大規模なブライダルフェアのイベントの一つで
どこも大体そうだけど、うちのホテルも
年間を通して挙式件数が少ないこの時期に
毎年大がかりなフェアを開催している
今月は明日行われる
模擬披露宴も兼ねたファッションショーを行い
来月は本番さながらの模擬挙式が行われる予定
最近はどこの会場も経費削減の為に
モデルは従業員が勤めるのが主流になっていて
とは言え、私は一度もやった事ないんだけど
去年までは綺麗なドレスを着れるし
面白そうだからやってみたかったんだけど
あと3ヶ月もすれば
本当にドレスを着れるから興味もなくなった
それに一生に一度の晴れ姿は
本番までとっておきたいしね(珍しく乙女じゃん、とか言わない)
「モデルかぁ...」
アイツのモデル姿はあんまり見た事ないから
楽しみだけど...
あっ、ヤバイ・・・時間だ！
「ごちそうさまでした！」
私は残りのご飯を急いで頬張り
社食を後にした
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作者名：ami
| 作成日時：2013年7月19日 13時
