バンビと買い物1 ページ30
「じゃあバンビ行くよ？
シートベルトは...ん、OK(笑)」
助手席に座るバンビのシートベルトを
今一度確認して車を発進させた
「ふふっ、そんなに怖がらなくても大丈夫だよ(笑)」
最初の内こそ、シートベルトを両手で握り締め
怯えている様子を見せたバンビも
見慣れた山道に車が入ると
「すごい、久しぶり！走ってるみたい」
「そっか、ずっと思うように走れなかったもんね」
「うん」
窓にへばりつくようにして流れ行く景色に目をやった
途中、気を利かせて開けた窓から必要以上に顔を出しすぎて
何度も私に叱られたくらい
そうやって辿り着いたショッピングモール
お目当てはもちろんバンビの服
急遽乾燥機で乾かしたジーパンはいいとして
それができなかったニットの代わりは明らかにサイズの小さいスウェットで
とは言え、私が持っている物で一番大きな物を着せたんだけど
すぐにでも新しい物に着替えさせる必要もある
「ほらバンビ、行くよ？」
初めて見る車の数に驚いているのか
立体駐車場でキョロキョロと辺りを見回すバンビ
「ほら」
左手を掴むとようやく大人しく私に着いてきた
これはこの先も
ずっとこうやって歩かなきゃダメかも...
案の定、私の予感は適中して
ショッピングモールに入ってからも
バンビはキョロキョロ、キョロキョロ...
一向に落ち着かない
故に手を離せない
まぁ、それも当然と言えば当然で
初めて見る物で溢れているここは
バンビにとっては正に別世界
こんなにもたくさんの人を目にするのも
恐らく初めてなんじゃないかな
そんなバンビをすれ違う人は物珍しそうに眺め
でもそれだけではない視線がバンビに注がれているのはすぐにわかった
例えみすぼらしい部屋着を着ていても
その素晴らしい容姿から無駄にカッコ良すぎるのだ、バンビは
だからサイズの合った服に着替え、この場にも慣れてくると
たちまち彼は行き交う人
特に女性の視線を釘付けにした
「ねぇA、次はどこに行くの？」
当の本人にその自覚は全くないみたいだけど
「そうだね
そろそろお昼だし何か食べに行こうか」
「うん(笑)」
という事で上の階にあるレストランフロアーへ
「あ、そうだ...エレベーターにしようか」
「...ん？」
近くのエスカレーターへ行きかけて思い直した
実はさっき、うっかりしていて
エスカレーターに上手く乗れないバンビを下の階に置き去りにしてしまったのだ
ホント、子供のようなバンビ
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ami(プロフ) - まこさん» まこさん、夏目漱石のエピソード、素敵ですよね。流石偉人は違います。妄想当初はもっとムードある流れで使おうかと思ったのですが、気付いたらこんな感じに(笑)拾って頂けて嬉しかったです！ありがとうございます。引き続きお付き合い下さいね。 (2021年7月14日 17時) (
レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - amiさん！更新ありがとうございます。まさか。ここで大好きな夏目漱石の訳に会えるなんて泣素敵ー！これからも楽しみにしています。 (2021年7月14日 16時) (レス) id: c043fdfdb9 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - tamaさん» tamaさん、切なさ感じて頂けて嬉しいです。バンビはどこへ行ってしまったのか。今後の更新で明らかにしていきますね。お話に共感して下さり励みになります。 (2021年7月6日 15時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - 切ない…バンビどこ行っちゃったのかな。 (2021年7月6日 0時) (レス) id: 2b3dad8b2a (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - 千衣さん» 千衣さん、それはもう「人にあらず」でしょうか(笑)悪の経典は観てないですが。←更新楽しみにして下さって励みになります！ありがとうございます。 (2021年7月5日 22時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ami
| 作成日時：2018年1月16日 1時
