深愛46 ページ46
事の全容を把握し
沸々とした怒りは
やがてどす黒い感情に変わっていく
握り締めた拳は、痛みすら感じる程で
目の前の男のそんな変化に
気付きもしない伊勢谷は尚も続けた
「まったく可愛い顔して、大したタマだよ
歯科助手ごときが医師に歯向かうなんて(笑)」
「...ッ」
...ガサッ！
この時、不意に視界の先を過った影
恐らく猫の姿にハッと我に返らなければ
不覚にも目の前のこいつを殴っていた
「相当、堪えてはいるみたいだけどね(笑)」
こんな...
殴る価値すらないような男を
Aがどんな気持ちで俺を庇ったのか
どんな気持ちでそれを隠したのか
こいつには一生わからない
もちろんそれが
どんなに尊い気持ちなのかという事も
「...バラしたきゃバラせ」
「は？」
「その代わり
覚悟は出来てるんだろうな」
「覚悟？」
俺はバックポケットに手をやると
忍ばせていたスマホを取り出した
それを伊勢谷の前で掲げる
「全部、録音してある」
「...ッ」
「お前がAを脅迫した証拠だ」
まさか録音されているとは思わなかったのか
唇を噛み、ワナワナと震える伊勢谷
もちろんこれを使って
実際にこいつをどうこうするつもりはない
Aに対する行為は断じて許せないが
許せないからこそ知らしめたい
自分が何をしているのか
単に「女癖が悪い」と言う言葉では
片付けられないところまで来ている事を
「歯科医師としてのお前の腕は
誰もが認めてるだろ」
「...え？」
伊勢谷が気の抜けた顔で俺を見た
「もちろん、俺も認めてる」
そのまま今度は
下ろされたスマホを目で追う
「だけどこんな事をしていたら
いつか取り返しのつかない事になる」
だからこそ言う
「お前の事を
信頼してる患者だって、沢山いるんだろ？」
「・・・・」
黙ったままの伊勢谷は
依然として茫然とスマホを見つめている
俺の言葉が届いたのかどうか、定かではないが
そうであって欲しいと思う
同じ医師として
「話しはそれだけだ」
そう言って踵を返すと
乗り込んだ車内
俺は逸る気持ちを抑え
アクセルを踏んだ
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神鹿(プロフ) - 見つけられました！ありがとうございます！ (2021年9月2日 23時) (
レス) id: 874191ca7a (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - 神鹿さん» 神鹿さん、私の作品ページから飛べませんか？出来ないようであれば神鹿さんの設定R18作品を読めるように変える必要があります。 (2021年9月2日 8時) (レス) id: d1c1872a15 (このIDを非表示/違反報告)
神鹿(プロフ) - スミマセンが 別部屋へは どうやったら読みに行けますか？ (2021年9月1日 22時) (レス) id: 874191ca7a (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - はるさん» はるさん、嬉しいお言葉のオンパレード！感激です。長らく放置していて気がかりだったお話を完結できて、私もほっとしています。一緒に楽しんで下さり、こちらこそありがとうございました。 (2021年9月1日 0時) (レス) id: d1c1872a15 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 最後まで、ドキドキしながら読ませて頂きました。ありがとうございました。amiさんの言葉使いが大好きでした。終わり方も、ほっとする？爽やかな？心が明るくなる様なエンディングで、何度も読み返したい作品です。本当にありがとうございました。 (2021年8月30日 10時) (レス) id: 533b71ddc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ami
| 作成日時：2017年9月18日 12時
