それどころじゃない ページ10
クソッ！斉藤のヤツ
何をそんなに楽しそうに笑ってる？
ああやって同じテーブルを囲みながら
Aさんと楽しい時間を過ごしていいのは
シータ波を分泌させてもいいのは
彼氏である
僕だけに許された特権なのにぃ〜ッ！！
数メートル先で見せつけられる光景が
悔しくて堪らなくて
体の奥から煮えたぎる想いが汗となって
全身から吹き出した
「もう、ホントにどうしちゃったの？具合でも悪いの？」
それをメイクのanさんが一生懸命拭ってくれる
anさん...
うりゅ...(泣)
その姿に堪らず涙が込み上げ
「anさ・・・」
いつものように話を聞いて貰おうとしたその時
「えっ！！」
Aさんと斉藤が二人揃って立ち上がり
そのままレストランに併設されている
このレストランの人気の理由のひとつでもある
綺麗にライトアップされたパティオに消えていった
「ちょっ、ちょっとチャンミン君...！？」
その姿を見失わないよう
すぐ後ろの、床から天井まである窓ガラスに
慌ててへばりつき行方を追った
「どこ！どこに行った！？」
そんな僕の姿を見て
「ちょっとチャンミン君！何してる！」
「やだ、見て？アレも撮影？」
「てゆーか、一人壁ドン？(笑)」
「キャー、囲われたぁい！」
「誰か辞めさせて！」
撮影スタッフも、他のお客さんも
かなりざわついていたけど
今はそれどころじゃない
僕のAさんが...
僕のAさんが...
変態スケベオヤジ斉藤に食べられちゃう！！
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作者名：ami
| 作成日時：2015年6月27日 10時
